水×環境情報化

2026-08-13

水×環境情報化 図版1

地下水は、規制の前に「誰がどれだけ汲んでいるか」が見えていない。

内閣官房の「地下水の適正な保全と利用に関する検討会」が8月にまとめた提言を読んで、まず気になったのがこの点でした。

全国の市区町村のうち、条例で地下水採取を規制しているのは約4割。さらに、上水道で地下水への依存が50%を超える自治体でも、約6割は条例等の規制がありません。

地下水への依存度が高い地域にも、実態把握の空白が残っています。

一方で、地下水をめぐる条件は変わりつつあります。

提言では、半導体工場などの立地による地下水需要の高まりに加え、データセンターの地方分散による水需要の増加も見込んでいます。供給側では、気候変動によって地下水涵養量が減少する地域が増える可能性や、沿岸部での塩水化リスクも指摘されています。

需要が増える場所がある。涵養する力は気候や土地利用で変わる。けれど、実際にどれだけ使われているかを十分に把握できていない地域がある。

今回の提言が興味深いのは、単純に「地下水の規制を強める」という話ではないことです。

一定規模以上の採取について、位置、用途、採取量などを全国的に把握する。需給がひっ迫するおそれのある地域では、地下水シミュレーションなどを使って「地下水利用可能量」を算出し、実際の採取量がその範囲に収まるよう調整する。

さらに、地下水位や採取量を共通のプラットフォームでデータベース化し、公開することも提言されています。

見えない地下資源を、まず見える状態にする。

地下水のように、一度障害が起きると回復に長い時間がかかる資源では、問題が起きてから規制するだけでは遅い。

どこに、どれだけあり、どれだけ使われ、どこまでなら使えるのか。

保全と利用を同じテーブルで考えるためにも、まず意思決定に使える情報にすることが重要なのだと思います。

出典:国土交通省「『地下水の適正な保全と利用に関する検討会』提言がとりまとめられました」(2026年8月4日)
https://www.mlit.go.jp/report/press/water01_hh_000192.html

提言本文:『地下水の適正な保全と利用のあり方について(提言)』
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/002015225.pdf