気候コミュニケーション×言葉の設計

気候変動への支持が足りないのではなく、具体策をどう語るかで支持が変わる。
そんなことを改めて考えさせられる調査を読みました。
Potential Energyなどが2023年に23か国、約5.8万人を対象に行った気候コミュニケーションの調査です。
政府が気候変動にすぐ行動することには、23か国平均で71%が賛成しています。
ところが、具体的な政策になると話は変わります。
18の政策について、賛成と反対の主張を並べて聞くと、一般的な気候行動では支持者が反対者の7.7倍だったのに対し、政策レベルでは平均1.7倍まで縮まりました。
そして興味深かったのが、同じ政策でも、どう意味づけるかによって支持がかなり変わったことです。
mandate(義務化)、ban(禁止)、phaseout(段階的廃止)を含むフレームは、そうでないものより平均的に支持が低く、政策によっては20ポイントもの差が出ました。
一方で、upgrade(改善・更新)、基準を設ける、解決策を利用しやすくする、汚染を減らす、依存を減らす、といった伝え方は、より支持される傾向がありました。
これは、単なる「言葉選び」の話ではないのだと思います。
同じ変化でも、
何を禁止される話なのか。
何を守り、何を良くするための話なのか。
その意味づけによって、人が受け取る課題そのものが変わる。
私が環境の話をするとき、「サステナビリティ」だけでなく、存続可能性、レジリエンス、資源制約、社会インフラといった言葉を意識して使っているのも、これに近いところがあります。
環境対応だから取り組む、ではなく、
事業を続けられるのか。
社会インフラを維持できるのか。
限られた資源の中で、どう発展していくのか。
自然や気候の変化を、そうした意思決定の言葉に翻訳していく。
何を伝えるかと同じくらい、何の問題として伝えるか。
環境と経営をつなぐうえで、そこはもっと考えていきたいテーマです。
出典:Potential Energy, Later is Too Late: A comprehensive analysis of the messaging that accelerates climate action in the G20 and beyond(2023年11月・23か国57,968人)
https://potentialenergycoalition.org/wp-content/uploads/2024/01/Later_is_Too_Late_Global_Report.pdf
この調査を知った番組:Climate Rising(ハーバード・ビジネス・スクール・2026年8月5日配信)
https://www.hbs.edu/environment/podcast/potential-energy-coalition-why-climate-messaging-fails-and-how-to-fix-it