重要鉱物リサイクル×経済安全保障


環境省が8月25日、インドで会議を開いたと発表しました。名前は「日印経済安全保障会議(リサイクルを通じた重要鉱物サプライチェーン強靱化)」。
経済安全保障という名前の会議を、環境省が在インド日本国大使館と共催している。重要鉱物の話が、廃棄物を集める側から動いているということだと思います。
開催は8月21日。重要鉱物リサイクルの促進に向けたパネルディスカッションと、参加企業どうしの1対1の面談・ビジネスマッチングが行われ、日印の企業を中心に、合計65社以上の企業、約130名超が参加したと書かれています。
背景として挙げられているのは、一つの枠組みと、一つの共同宣言です。
・2026年5月、デリーでの日米豪印(QUAD)外相会合で発表された「日米豪印重要鉱物イニシアティブ枠組み」
・2026年7月2日、日印首脳会談で発表された「経済安全保障協力に関する日印共同宣言」
その共同宣言を読んでみました。重要鉱物は、半導体・情報通信技術・クリーンエネルギー・医薬品と並ぶ5つの優先分野の一つで、重要鉱物の項に書かれている行動は2つです。
・インド地質調査所とJOGMECの間で、鉱物探査分野において技術協力及び情報交換を促進する
・電気・電子機器廃棄物の収集とリサイクルを促進することにより、関連サプライチェーンにおいて重要鉱物の回収を高めるためのエコシステムを確立する
気になったのは、この2つの差です。
情報交換が出てくるのは、鉱物探査のほうです。地下に何があるかを調べる側。いっぽう廃棄物から回収する側は「エコシステムを確立する」で止まっていて、集めたものが何で、どこから来て、どこへ行ったのかを追える形にする、という話は、この項には出てきません。
集める仕組みと、集めたものを情報として追える仕組みは、別に設計しないと揃わないのだと思います。使用済み製品を資源として数えるなら、たぶんそこが要る。
会談の相手も書かれていました。環境副大臣がインドの環境・森林・気候変動大臣、鉱山大臣、そして住宅都市省とそれぞれ会談しています。環境と、鉱山と、都市。電気・電子機器を集める仕組みは都市の廃棄物行政の中にあるので、この3つが並ぶのは筋が通っています。
なお、この発表は会議の開催報告です。拘束力のある合意や、具体的な事業が決まったという記載はありません。
🔗 環境省の報道発表(2026年8月25日)
https://www.env.go.jp/press/press_05470.html
🔗 経済安全保障協力に関する日印共同宣言 和文仮訳(外務省・2026年7月2日)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/101054201.pdf