ネイチャーファイナンス実践ガイドラインの概要×自然の評価項目

2026-09-05

ネイチャーファイナンス実践ガイドラインの概要×自然の評価項目 図版1
ネイチャーファイナンス実践ガイドラインの概要×自然の評価項目 図版2

環境省が9月1日、「ネイチャーファイナンス実践ガイドライン」を策定・公表しました。投資家・金融機関が投融資の判断に自然資本への考慮を組み込むための指針です。義務ではなく、任意で使うものとして書かれています。

読んでみて一番はっきりしたのは、自然を投融資で見るには、気候と同じ項目では足りない、ということでした。

ガイドラインは、企業の自然資本関連情報を企業価値として評価するための項目を、例示として8つ挙げています。まず基本項目が3つ。

・我が国の自然資本をめぐる状況
・複雑性・段階的アプローチ
・ネクサス(相互依存性)

そして、ガイドラインが「ネイチャーファイナンスにおいて考慮すべき固有項目」と呼ぶものが5つ。

・依存とインパクト
・地域性(ロケーションファクター)
・バリューチェーン
・ミティゲーション・ヒエラルキー(可能な限り「回避」し、回避できない影響は「最小化」し、損なわれた地域は「復元」する。オフセットは、これらを尽くしたうえで残る影響に対する「最後の手段」)
・ステークホルダー(IPLCs:先住民の社会及び地域社会)との合意形成

このうち地域性について、ガイドラインはこう書いています。

「自然資本の状態や脆弱性は、地域ごとに異なる」
「組織の資産、業務プロセス、製品・サービスの自然に対する『依存』と『インパクト』は、地理的条件に固有である」

温室効果ガスは、どこで出しても同じ1トンです。自然はそうではない。同じ工場を建てても、そこがどこかで意味が変わる。だから評価には場所の情報が要る。注視すべき地域区分として挙げられているのも、事業活動上、自然への依存・インパクト・リスク・機会が大きい「マテリアルな地域」と、生態学的に重要・脆弱である地域と接点がある「要注意地域」でした。

背景にあるのは、昆明・モントリオール生物多様性枠組が示した、2030年までに少なくとも年間2,000億米ドルを自然資本に振り向けるという資金動員の必要性です。日本の事情としては、海外の自然資本に大きく依存していて、その損失が食料・資源等の安全保障に直結する、と書かれています。

位置づけは、既存のグリーンファイナンス関連のガイドラインを自然資本の観点から補足するもの。足りないところを足しにきたものだと読みました。

自然に関する情報を意思決定に使える形に変える。その最初の一歩は、何を見るかを決めることなのだと思います。

🔗 ネイチャーファイナンス実践ガイドラインの策定について(環境省・9月1日)
https://www.env.go.jp/press/press_05516.html
🔗 ガイドライン全体版(PDF)
https://www.env.go.jp/content/000426502.pdf