AIインフラ×水の測る境界

2026-09-07

AIインフラ×水の測る境界 図版1

データセンターの水といえば、サーバーを冷やす水の話になりがちです。米国の非営利団体Ceresが8月に出した報告書は、そこではないところを数えていました。

冷やす水ではなく、電気をつくる水のほうです。

全米のデータセンターの約半分が集まる7州(バージニア、テキサス、カリフォルニア、イリノイ、ジョージア、オハイオ、アリゾナ)について、そこで使われる電気をつくるために必要な淡水を推計したものです。

・年間およそ3.4兆ガロン。ロサンゼルス、フェニックス、ワシントンD.C.の年間水使用量を合わせた量の約12倍

・分析対象の州の電力の78%が、水を使う発電所から来ている

・そのうち66%が、水ストレスが中程度から高い、または極めて高い地域の発電

報告書は、データセンターを運営する企業の多くが、購入している電気に紐づく水のリスクを考慮に入れていない、と書いています。

数字の作り方には限定があります。

・この推計は取水量です。いったん取り込んだ量のことで、そのまま戻らなくなる消費量ではありません

・水力発電も含みます。報告書自身が、分析対象の州の取水量は水力が大半(約78%)を占め、その水はタービンを通ったあと水源へ戻される、と書いています

・米エネルギー情報局の2024年公開データを使い、報告のない発電所はモデルで補っています

それでも論点は残るように思います。自社の敷地の中で使う水は測っている。敷地の外、電気の向こう側で使われている水は、まだどの欄にも入っていない。

温室効果ガスの算定では、自社が買った電気の分を Scope 2 として自分の数字に入れます。同じ考え方が、水にも要るということなのかもしれません。境界をどこに引くかで、リスクの見え方が変わります。日本でもデータセンターの立地が進んでいますが、同じ問いは立てられるはずです。

🔗 Ceres「Water Behind the Watts」:
https://www.ceres.org/resources/reports/water-behind-the-watts-the-hidden-risk-of-powering-data-centers

🔗 Ceres プレスリリース:
https://www.ceres.org/resources/news/new-ceres-report-spotlights-data-centers-biggest-and-least-visible-water-use-the-power-that-runs-them