電力インフラ×財政投融資/最終負担

2026-09-08

電力インフラ×財政投融資/最終負担 図版1
電力インフラ×財政投融資/最終負担 図版2

大規模な送電線や電源をつくるお金が返ってこなかったとき、最後に引き受けるのは誰か。経済産業省の資料には、一般送配電事業者から「特別会費」として回収する枠組みを設ける、と書かれています。

7月に成立した改正電気事業法にもとづく融資制度が、9月1日に事前相談の受付を始めました。国が計画を審査・認定し、電力広域的運営推進機関(OCCTO)が資金を貸し付ける仕組みです。2026年度中の融資実行を希望する事業者は、9月30日までに連絡することとされています。

貸すお金の出どころは、対象によって違います。電源と、地内系統のうち民間から借りてもなお足りない分は、財政投融資。OCCTOにとっては借金で、国庫へ返す義務があります。地域間連系線には、値差収益を原資とする貸付け制度がすでにあります。

そしてもうひとつ、補助金を原資とするものがある。

これは、需要や電源の接続希望が顕在化する前から系統整備を先に始めるための枠です。資料はこう書いています。整備開始時点では立地が確定しておらず、定量化できないリスクを含むため、一般送配電事業者等は系統整備に必要な資金を調達できない場合がある、と。対象として名指しされているのは「GX戦略地域(データセンター集積型)など、国が需要立地の蓋然性を確認した地域の計画のみを対象とする予定」でした。

まだ客が確定していない段階の系統整備に、国が原資を用意して貸す。その条件は今回の審議事項で、設定金利は現時点で0.1%程度が想定されています。

そのうえで、それでも国庫への償還が難しいと認められる場合の枠組みが置かれている。安定供給のラストリゾートとしての役割を有する一般送配電事業者から、必要な額を特別会費として回収する。そう書かれています。

その特別会費が、そこから先どう扱われるのかは、この資料には書かれていません。ただ、「国が貸す」だけの話ではなく、うまくいかなかったときに誰が引き受けるかまで、あらかじめ線が引いてあるのだとは読めました。

データセンターの集積も、脱炭素電源への投資も、系統が先に用意されていなければ動きません。その系統への長期資金を、誰がどの順番でリスクを取って出すのか。環境や気候の議論からは少し離れて見えますが、社会インフラの存続可能性という意味では、同じ話の下の層にあたるように思います。

🔗 経済産業省 報道発表(2026年9月1日): https://www.meti.go.jp/press/2026/09/20260901002.html
🔗 改正電気事業法に基づくファイナンス支援の実施に向けて(PDF): https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/jisedai_kiban/electric_power_wg/pdf/003_03_00.pdf