データセンター×電力系統の費用負担

2026-09-10

データセンター×電力系統の費用負担 図版1
データセンター×電力系統の費用負担 図版2

来ると言われた電力需要が来なかったら、その費用をどう見るのか。カリフォルニア州が8月31日に両院を通した法案に、算定の手がかりが書かれています。

SB 886。データセンターが、配電網ではなく送電系統に直接つないで電気の供給を受けるときの接続の扱いを、州の公益事業委員会に2028年1月1日までに整えさせる法案です。対象は、2027年1月1日以降に新しく接続契約を結ぶ施設。8月31日に両院を通り、いまは登録の手続きに入った段階になります。

なかでも早期解約金が、この法案の性格をよく表しているように思いました。

接続から10年以内に系統を離れる場合。あるいは、見込んだほど電気を使わなかった場合(条文の言葉では「十分な負荷の立ち上がりを達成できない」場合)。委員会は、その施設に早期解約金を課すタリフを作ることになります。課すこと自体は義務で、額については「当初見込まれた需要と消費量にかかる収入のギャップを下回らないこと」が望ましい水準として示されています。

返金の側にも線が引かれていました。接続費用として最初に払った分が戻るのは、実際に負荷が立ち上がった度合いに応じて、かつ電力会社がその施設から受け取る年間の送電収入(費用を差し引いたあとの額)の75%を超えない範囲。「この制限により、返金の完全な回収時期が遅れる可能性がある」と、法案自身が書き添えています。

対象がどれくらいの規模の施設なのかという定義は、この法案にはありません。同じ日に可決したAB 2383が、同じ条のまとまり(Article 14.7)に別の条文として置いていて、発電のタリフについては、それが適用される最低ピーク需要の閾値を委員会が定めること、その閾値は25メガワットを超えて設定できないことが書かれています。

日本でも、経済産業省がGX戦略地域でデータセンター集積型の有望地域を選び、大規模な電源・送電線への融資制度が9月に事前相談を始めたところです。需要が想定どおりに立ち上がらなかったときの費用を誰が持つのか、という問いは、制度の形が違っても同じ場所に出てきます。

需要の予測は、それ自体が社会インフラを動かす情報です。その情報が外れたときの負担を、どこまで先に割り付けておくか。カリフォルニアが置いたのは、額そのものではなく、その算定の手がかりでした。

🔗 SB 886 法案本文(カリフォルニア州議会): https://leginfo.legislature.ca.gov/faces/billTextClient.xhtml?bill_id=202520260SB886
🔗 経産省 大規模送電線・大規模電源に対する融資制度(2026年9月1日): https://www.meti.go.jp/press/2026/09/20260901002.html