資源循環×費用配分

英国では2027年10月から、飲料の容器に20ペンスの預り金を上乗せして売り、容器を返せば戻ってくる仕組み(デポジット制度)が始まります。その運営団体Exchange For Changeが9月2日、制度の運営費として飲料メーカーが払う「生産者負担金」を発表しました。
払うのは、制度上の「生産者」として登録される事業者です。英国に拠点を持つ飲料の製造者(他社の名称や商標で売る場合はその名義人)、輸入者、注文に応じて容器に充填する事業者が含まれます。小売業でも、これらに当たれば対象になります。
発表の中身はこうです。
・2027年10月から2028年12月まで:すべての容器で0ペンス
・2029年1月から2032年12月まで(見込み):アルミとスチールは1個あたり0.6ペンス、PETは2.3ペンス
・2027年5月に見直しと検証のうえ再確認し、制度開始後は毎年見直す
まず、開始から15か月間は、どの容器でも負担金は0ペンスです。同社は「制度の立ち上げ時に事業者の費用を最小限にするため」と説明しています。
そのうえで2029年から、素材によって差がつきます。PETはアルミ、スチールの約4倍です。
なぜ差がつくのか。発表には理由が書かれていませんが、制度の根拠法令(2025年規則)を読むと、決め方が定められていました。
・1容器あたりの負担金は素材ごとに決め、0ポンドでもよい(規則63条(5))
・決めるときは、回収した容器から再生される素材の価値を考慮しなければならない(同(6))
・ある素材の負担金で、別の素材の回収・処理・リサイクルの費用を補助してはならない(同(7)(8))
つまり、素材ごとの回収・処理の費用を、その素材の負担金と再生材の価値で賄う設計に読めます。PETがアルミより高いのは、この差がPETのほうで大きいからではないか、と私は読みました。
なお、0.6ペンスと2.3ペンスは現時点のデータに基づく想定値で、確定した金額ではありません。0ペンスの期間に運営費を何で賄うかは発表に書かれていませんが、規則62条は、集めた預り金のうち払い戻しに使わなかった残りを、まず監督にかかる費用に充てなければならず、なお残れば運営費に充ててよいと定めています。
制度の費用を見るとき、私たちは「いくら払うか」に目が行きます。ただ「誰が払うか」「なぜ素材で違うか」「いつから効きはじめるか」も、同じくらい設計の一部なのだと思いました。
🔗 Exchange For Changeの発表(2026年9月2日): https://exchangeforchange.co.uk/news/exchange-for-change-introduces-stepped-producer-fees-for-deposit-return-scheme/
🔗 根拠法令 規則63条(2025年SI第67号): https://www.legislation.gov.uk/uksi/2025/67/regulation/63/made