外来種×産業の線引き

2026-09-13

外来種×産業の線引き 図版1

外来種のリストは、防除の名簿であると同時に、産業が管理しながら使い続ける外来種の名簿でもあります。9月11日に環境省と農林水産省が公表した「生態系被害防止外来種リスト(第2版)」を見て、そう思いました。2015年の初版から11年ぶりの改訂です。

掲載は429種類から596種類へ、約1.4倍。魚類では国内由来の外来種(国内の別の地域から持ち込まれたもの)が4種類から25種類に増え、ヒメダカやキンギョのような人工改良品種も載りました。

このリストには「産業管理外来種」という区分があります。作成の基本方針にはこうあります。「産業又は公益的役割において重要であり、現状では生態系等への被害がより小さく、同等程度の社会経済的効果が得られるというような代替種がいない外来種がある」。

リスト本体を開くと、植物の産業管理外来種には、キウイフルーツ、パパイヤ、ビワ、牧草のチモシーやイタリアンライグラス、モウソウチクなどの竹類、ハリエンジュが並びます。魚類ではニジマス。

使ってよい、というお墨付きではありません。基本方針が求めているのは3つです。

・利用に伴う被害を減らすための管理を徹底する

・利用の回避や抑制、侵略性のない代替種の開発と普及に努める

・逸出(管理の外へ逃げ出すこと)して管理から外れたものは速やかに防除する

線をどこに引くかで、意見も出ています。パブリックコメント(33名・55件)には、緑肥(畑にすき込む肥料用の作物)として有益なセイヨウカラシナを産業管理外来種に区分してほしい、漁業権のある漁場で放流用の稚魚として使われるヘラブナを産業管理外来種とするのが妥当ではないか、という意見がありました。どちらも原案どおり。

セイヨウカラシナの理由はこうです。栽培品種が逸出して問題になっている情報はなく、問題となっているのは戦後に侵入して雑草化したものと考えられ、それが同じものだという情報がない。

一方で、ソテツシロカイガラムシは20件の意見を受けて、改めて専門家に聞き、防除推進外来種に格上げされました。線は、利用の実態と被害の実態の情報で動いています。

自然関連の開示の枠組みTNFDは、企業が侵略的外来種にどう関わっているかを開示する指標を検討していて、最終版は10月の予定とされています。日本の企業がその指標を埋めるとき、どの種を侵略的外来種として数えるかの線引きは、このリストになるように思います。リスト本体は、分類群ごとに表形式で公開されています。

🔗 環境省 報道発表(2026年9月11日): https://www.env.go.jp/press/press_05557.html
🔗 リスト本体と作成の基本方針: https://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/iaslist.html