資源循環×経済安全保障

2026-09-13

資源循環×経済安全保障 図版1

欧州委員会が9月11日、電池のリサイクル効率と材料回収率の目標を据え置く、という報告書を採択しました。電池規則が定める5年ごとの見直しの初回です。据え置きの根拠に置かれていたのは、目標の正しさというより、目標を動かしても供給への効果は限定的だ、という試算でした。

対象の目標は、たとえばリチウム系電池なら、リサイクル効率が2025年末に65%、2030年末に70%。リチウムの材料回収率は2027年末に50%、2031年末に80%です。

報告書は目標を、野心と実現性の釣り合いがとれている、と評価しています。そのうえで、共同研究センター(JRC)の試算が載っています。リチウムの回収目標を10ポイント上げた場合と下げた場合で、域内の一次生産と、使用済み電池などからの二次生産を合わせた供給が、電池向けのリチウム需要に占める割合がどう変わるか(処理能力の制約は考慮しない試算です)。基準の目標では2027年に18%、2031年に39%、2035年に42%。上げ下げの効果は、2027年で±2ポイント、2035年で±3ポイントでした。

続けて、こう書いています。「EUが直面する課題は、個々の処理施設の効率よりも、EU域内で利用できる処理能力の総量にある」。

もう1つ。2027年のリチウム回収目標が50%なのは、技術的に取り出せないからではなく、技術の立ち上がりに時間を与えるためだ、とも。多くの関係者は、回収事業者からの最初のデータ報告が2027年半ばなので、この評価は時期尚早だと指摘していたそうです。

目標を上げれば回収事業者の負担が増えるが、供給はほとんど変わらない。下げれば、必要な投資を遅らせる可能性がある。だから動かさない。目標値は、供給に効く変数というより、投資を促す信号として置かれている、と読めました。供給に大きく効くのは、処理能力のほう。

🔗 欧州委員会 報告書 COM(2026) 470(2026年9月11日): https://environment.ec.europa.eu/publications/commission-report-assessment-appropriateness-revising-targets-recycling-efficiency-and-recovery_en
🔗 ニュース記事(環境総局): https://environment.ec.europa.eu/news/waste-batteries-recycling-targets-remain-fit-purpose-2026-09-11_en