自然オフセット×誰が直すか/市場設計

2026-09-13

自然オフセット×誰が直すか/市場設計 図版1
自然オフセット×誰が直すか/市場設計 図版2

開発で自然を損なうとき、まず回避と低減を求め、それでも残る影響を別の場所で埋め合わせる。この最後の埋め合わせを、オフセットと呼びます。オーストラリアの新しい環境法では、このオフセットを開発者が自分で実施する代わりに、国に支払うという選択肢が加わりました。この投稿で書くのは、支払った開発者の側ではなく、拠出金を受け取って開発者に代わって回復行動を実施する側(法定管理者)に、どんな縛りが付いたかです。

法律そのものは2025年11月に議会を通過していて、残りの部分は2026年12月1日までに動き出す予定です。9月9日に出たのは、それを動かす規則の案を示した協議文書です。

開発者の選択肢は3つ。

・オフセットを自分で実施する(自然回復市場の証書を使う方法も含む)

・利用できる場合に、国の特別会計に「回復のための拠出金(restoration contribution)」を支払い、法定管理者が代わりに回復行動を実施する

・両方を組み合わせる

支払って済ませられる、と読めます。では、拠出金で回復行動を実施する法定管理者には、何が課されるのか。並んでいるのは3つです。

・規則案:通常の回復行動は、拠出金を受け取ってから3年以内に、場所を確保し、登録し、管理を始める(代替の行動は4年以内)

・規則案:回復した状態を最低25年、または持続する状態になるまで維持する。上限は100年

・法律で定め済み:どの案件がいくら支払い、どの回復行動に使われたかを、登録簿と年次報告で公開する

25年という数字には理由も書かれています。単純で成熟の早い生態系では25年前後で自立の節目が来る一方、オーストラリアの多様な景観では50年やそれ以上を要する生態系もある、と。

補足が2つ。1つは、オフセットの国家基準にある「影響が出る前に着手する」という原則を、法定管理者は必ずしも満たせるとは限らないので、この基準に関しては整合ではなく配慮でよい、と整理されていること。もう1つは、いくら支払うのか、料率の算定方法は今後の別の協議に回されていて、この選択肢が使えるのも利用可能な場合に限られること。

私が気になったのは、支払う側の費用より、代わりに実施する側の義務のほうです。着手が影響の後になりうるという弱点を制度の側が先に書き、そのぶん期限と維持期間で縛る。自然の回復を誰が支払い、誰が実施し、いつまで持たせるかが、同じ文書に並んでいるように見えました。

🔗 協議文書(Paper 3: Delivering new compensation options): https://consult.dcceew.gov.au/environment-protection-reform-consult-shaping-next-phase-environmental-reforms
🔗 改革の全体(豪州 気候変動・エネルギー・環境・水省): https://www.dcceew.gov.au/environment/epbc/epbc-act-reform