渡り鳥のルート×開発銀行の融資/湿地

2026-09-14

渡り鳥のルート×開発銀行の融資/湿地 図版1

渡り鳥の通り道に、開発銀行の融資が付き始めています。バードライフ・インターナショナルが9月11日、ナイロビで開かれた世界フライウェイ・サミットで報告書「State of the World's Birds」を公表しました。4年ごとの報告の第6版で、渡り鳥に絞った初めての版です。

数字は厳しいものです。

・渡り鳥の45%が減少傾向、11%(9種に1種)が絶滅のおそれ

・年間の全期間で生息地が十分に保護されている渡り鳥は約9%(渡りをしない鳥は45%)

・渡り鳥にとって重要な生物多様性重要地域1,099か所のうち、58%が「不良」か「極めて不良」の状態(2016〜2025年の評価)

私が気になったのは、報告書の「対応」の章にある資金の話です。バードライフは複数の開発銀行と「地域フライウェイ・イニシアティブ」を組んでいます。東アジア・オーストラリア地域フライウェイでは2021年にアジア開発銀行と、アメリカ大陸ではラテンアメリカ・カリブ開発銀行と、2025年には世界銀行とアフリカ・ユーラシアで組むことに合意しています。発表文では、2021年以降の開発銀行の約束は60億ドル超、アジア開発銀行は今後10年で30億ドルを動員し、東アジア・オーストラリア地域の重要湿地50か所以上を守るとされています。この湿地に頼る人はおよそ2億人、と。

資金の中身も書かれています。政府向けの優遇金利の融資と、機関や民間からの助成金の組み合わせ。投資先は生息地の回復だけでなく、持続可能な養殖・農業、汚染防止と水管理、エコツーリズム、緑地や湿地を活かしたインフラ、再生可能エネルギーに及び、「フライウェイ債」と呼ぶ金融商品も検討中とあります。これらの取り組み全体の実績として、980か所超の優先サイトを特定し、25件超の事業を承認、3億4,000万ドル超の資金を確保した(unlocked)、というのが報告書側の数字です。実際の支出額とは別の数字です。

渡り鳥が減る理由として報告書が挙げるのは、外来種と病気、農業、気候変動、狩猟と密猟、汚染、都市開発など、いずれも人が原因のものです。日本はこのフライウェイの途中にあります。報告書には、日本でコウノトリの回復につながった農法も、農業の側の対応例として載っています。

保全の資金に政府向けの融資も組み込まれるなら、返す側の政府は、湿地を守ることで何が得られるかを数字で持つ必要が出てきます。渡り鳥の通り道が、水管理や養殖と一緒にインフラの計画に入っていく、という読み方をしました。

🔗 バードライフ 発表(2026年9月11日): https://www.birdlife.org/news/2026/09/11/birds-are-running-out-of-places-to-land-45-of-migratory-bird-species-now-in-decline/
🔗 報告書 State of the World's Birds 2026: https://datazone.birdlife.org/publications/state-of-the-worlds-birds-2026