資源循環×アルミの選別/経済安全保障

2026-09-14

資源循環×アルミの選別/経済安全保障 図版1

アルミくずを混ざったまま輸出すると、金属と一緒に出ていくものがあります。選別し、合金ごとに分け、再溶解する工程の付加価値です。WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)の重要資材の部会が9月3日に公表した「北米アルミニウム・イニシアティブ」の白書は、そこを数字にしました。分析はマッキンゼーが、参加企業のデータを匿名化して行っています。

・米国のアルミくずの輸出は年およそ200万トン。多くは「ゾルバ」と呼ばれる、アルミに銅や亜鉛などが混ざった破砕くずのまま

・回収されたアルミくずの約71%(リサイクル率の高い3000系の合金を除く)は混ざったままで、用途の低い製品に回る

・アジア向けのゾルバ約160万トンを国内で処理すれば、選別や再溶解の工程で年19〜23億ドルの価値(処理価値)が生まれるという試算。必要なのは高度選別の施設およそ35か所、設備投資は約1億5,000万ドル

技術は、X線とレーザーを使う2種類の分析(XRTとLIBS)で、混ざったくずを合金の系統ごとに分けるもの。2つの事業者モデルで、合金別の製品を作れることを確認したとあります。

私が気になったのは、白書が課題を技術だけに置いていない点です。回収業者は買い手の要求が見えず、リサイクル業者は選別設備に投資するだけの市場の確かさがなく、製造業は品質の分かる再生アルミを量で確保できない。だから白書は、電子機器・自動車・包装など複数の業種の需要を束ねる「補完的な需要」を、選別設備と同時に整えることを条件にしています。試算は市場の前提に基づくシナリオであって、実際の利益率の検証ではない、とも書かれています。

日本では、4月の循環経済行動計画(案)に、再生原料の使用が難しいとされる展伸材(板や棒の製品)について、2030年に国内生産量の約4割を再生アルミ原料由来にする目標があります。そのために「合金種ごとの選別や不純物の除去に関する技術開発が求められる」と。原料の新地金は100%輸入なので、くずをどこまで国内で分けて使えるかは、資源の話であると同時に産業の話でもあります。

くずを輸出する側から見ると、出ていっているのは資源であると同時に、選別と再溶解という産業のほうです。再生材の目標を、集める量ではなく、分ける能力と使う側の需要の揃い方で読み直すと、見え方が変わるように思います。

🔗 WBCSD 白書(2026年9月3日): https://www.wbcsd.org/news/from-downcycling-to-grade-specific-circular-supply-unlocking-secondary-aluminum-through-advanced-sorting/
🔗 循環経済行動計画(案・2026年4月21日 関係閣僚会議資料): https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/economiccirculation/dai4/shiryo2.pdf