気候適応×自治体財政/誰が払うか

気候変動への適応計画(猛暑や水害などへの備えの計画)は、費用と払い手のところが空いていることが多いようです。世界143都市の気候リスク報告書151本を調べた論文(Environmental Research Communications・2026年9月8日受理稿)が、そう指摘しています。気候変動が地域経済に影響すると認めた報告書は73%。一方で、計画の費用を出したのは48本(3分の1ほど)、どう払うかを書いたのは半分未満でした。
対象は、企業や都市の環境情報開示の仕組みであるCDPに提出された、英語の公開報告書(2018〜2022年)です。報告書ごとに3人が、5つの問いに答えているかを判定しています。
・気候変動が地域経済に影響すると認めているか:73%
・保険料への影響に触れているか:約40%
・災害による損失額を試算しているか:20%
・提案した対策や計画の費用を出しているか:48本
・その計画をどう払うかを書いているか:半分未満(67本)
払う責任まで引き受けていたのは21都市です。適応のための基金を持つ11都市と、既存の部署の通常業務として費用を持たせた10都市です。計画全体の資金を確保できていた都市は1つもなく、最も進んだバルセロナで8割(観光税と欧州投資銀行の融資)と書かれています。
私が気になったのは、別の設問との食い違いです。CDPが別に「予算編成で気候の問題を考慮しているか」と聞くと、45%の都市が「している」と答えました。5つの問いに1つも答えていない報告書の都市でも、半数ほどが「している」と答えています。論文はこれを、予算の中では動いているが公開文書には書かれていない可能性として読んでいます。あわせて、151本のうち69本は外部のコンサルタントが作っていて、作る側が市の予算や財源の情報にアクセスできていない可能性も指摘しています。
日本では、気候変動適応法のもとで47都道府県と524の市区町村(政令市20を含む)が地域気候変動適応計画を持っています(A-PLAT・2026年8月時点)。計画があることと、その計画に費用と払い手が書かれていることは、別の問いなのだと思います。気候のリスクを測ったあとに、誰が払うのか。適応でも同じ問いが、計画書の中に残っているように見えます。適応計画を手に取るときは、対策の一覧の隣に費用と払い手の欄があるかを、先に見ておく価値がありそうです。
🔗 論文(Environmental Research Communications・受理稿・CC BY): https://doi.org/10.1088/2515-7620/aea478
🔗 地域気候変動適応計画一覧(A-PLAT・国立環境研究所): https://adaptation-platform.nies.go.jp/local/plan/list.html