消費×供給網の層/生物多様性フットプリント

2026-09-17

消費×供給網の層/生物多様性フットプリント 図版1

消費が自然を壊しているのは、取引先の何段先なのか。オランダ環境評価庁(PBL)の研究者3人を含む4人のチームが、消費に伴う生物多様性の損失を供給網の「層」ごとに分けた論文を、Journal of Industrial Ecology に9月15日に出しました(データは2015年)。

指標はMSA(在来種の平均個体数がどれだけ減ったか)で、陸の生態系が対象です。消費者に直接納める供給者を層0、その供給者を層1、と奥へ数えます。結果はこうでした。

・消費者自身の直接の影響(住宅の土地、車の燃料など):12%

・層0(直接の供給者):26%

・層1(その供給者):24%

・層2より奥:38%

奥へ行くほど海外に移ります。層0の損失は68%が国内、層1は69%が国外、層2より奥は90%が国外(多くはEU域外)でした。温室効果ガスによる損失は消費に近い層に集まり、土地利用による損失は層1から先に現れます。層4の供給者でも全体の5%を超え、著者は「無視できない」と書いています。

品目で、損失が最も大きい層も変わります。住宅は層0、食品と工業製品は層1です。論文は、供給網の責任は直接の供給者の先まで及ぶべきで、EUの企業サステナビリティ・デューデリジェンス指令や、拡大生産者責任(製品の使用後まで生産者が責任を持つ考え方)の要素になる、と結んでいます。

私は、「直接の取引先まで」で区切ると何が外れるかを、この数字が示していると思いました。消費者と層0を足しても38%。残りの62%は、その先にあります。自社の調達で、どの品目が何段先で自然を使っているか。同じ計算は、貿易を含む産業連関表に、環境への負荷と生物多様性への影響の係数を重ねれば作れるはずで、日本の数字も見てみたくなりました。

🔗 論文(Journal of Industrial Ecology・2026年9月15日・CC BY-NC-ND): https://doi.org/10.1007/s44498-026-00171-4
🔗 PBL(オランダ環境評価庁): https://www.pbl.nl/en