エネルギー安全保障×保護林/自然の保護区分

経団連が9月15日に出した2026年度規制改革要望(43項目)に、国有林の保護林の中で地熱の初期調査に限って貸付を認める特例が入りました。自然の保護区分が、「開発してよいか」ではなく「調べてよいか」の線で問われる例だと私は読みました。地熱に関する項目は2つです。
・No.35 地熱資源の調査を目的とする国有林野の貸付・使用の上限を、5ヘクタールから10ヘクタール程度に(規制の特例を認める国家戦略特区と同じ扱い)
・No.36 保護林を一律に貸付の対象外とする現行の運用を見直し、地熱資源の有無や量を確かめる初期調査に限って貸付を認める特例を
根拠になっている林野庁のマニュアル(風力発電・地熱発電に係る国有林野の貸付け等手続マニュアル)には、貸付の条件として「保護林が申請地に含まれていないこと」と1行で書かれています。要望は、この1行に「初期調査なら」という例外を求めるものです。
保護林は、林野庁が国有林の中に設ける区分で、2026年4月1日時点で658か所・約102万ヘクタール。知床や白神山地、屋久島などの森林生態系保護地域のほか、地域固有の生物群集を守る区分と、希少な野生生物の生息地を守る区分の、3つに分かれています。要望の理由は、地熱が「資源が国内に賦存し、設備・工事についても概ね国内で調達可能な、安定的な純国産エネルギー」で、エネルギー安全保障の強化に寄与する、というものです。
私は、エネルギー安全保障の言葉で自然の保護区分に例外を求める要望が、産業界の正式な文書に載ったことを、賛否とは別に覚えておきたいと思いました。「調査だけ」と「開発」は分けられるのか。調査でも仮設道路や機材の搬入で5ヘクタールを超えうる、と要望自体が書いています。一方で保護林には、外部有識者の管理委員会と、モニタリングを踏まえた区域の見直しの仕組みがあります。例外を判断する場の候補は、まずここになりそうです。例外を認めるなら、どの区分の保護林で、何を測って、誰が判断するのか。この3つが、貸付の基準を変える前に書かれるかどうかを見ていきたいと思います。
🔗 経団連「2026年度規制改革要望」(9月15日): https://www.keidanren.or.jp/policy/2026/049.html
🔗 林野庁「保護林」(箇所数・面積): https://www.rinya.maff.go.jp/j/kokuyu_rinya/sizen_kankyo/hogorin.html