外来種×果樹・観光の経営/防除の地図

サクラやモモを食い荒らす外来のカミキリムシに、農林水産大臣と環境大臣を本部長とする対策本部ができ、9月11日の第2回会合で全国の防除(駆除と、侵入や拡大の防止)の戦略(案)が示されました。被害は2012年に国内で初めて確認されてから、2026年9月時点で22都府県・300を超える市町村に広がり、2026年だけで山梨・福井・長野・岐阜・岡山・香川の6県で新たに見つかっています。
戦略(案)で気になったのは、「これまでは、被害発生後の対策が中心となり、後手後手に回ることが多かった」と自分で書いているところです。そのうえで、全国の市町村を被害状況で4つに区分しています。
・未被害地域:新たな被害の多くは既被害地から3km以内で出るため、隣接する未被害の234市町村は「既に侵入している可能性を踏まえた対策が急務」
・飛び地的被害地域:40km程度離れて突発する。確認後直ちに徹底すれば短期間で地域根絶できる可能性があり、最優先
・被害最前線地域:関東・中部・近畿・四国の既被害地域の外縁。未被害地域への拡大の起点
・まん延地域:定着済みで、生息密度の低減を図る
どの市町村がどの区分かは、環境省のジオポータルで地図として公開されています。
防除の基本は「被害木や、その土地・施設を所有し、または管理する者が実施する」。私有地で対策が行われない場所が新たな発生源になるため、所有者不明の土地には外来生物法の手続きを経て行政が防除に入ることも書かれています。
お金の側では、環境省が2026年度から国際観光旅客税を財源とする外来生物対策事業を始めています。2027年度の概算要求(来年度予算の要求段階)は、外来生物対策費全体で67.2億円(前年度6.3億円)。農水省の消費・安全対策交付金では、重要病害虫の特別防除等が56.7億円(同19.0億円)の枠の中に含まれます(クビアカ分の額は示されていません)。目標は「2030年度を目途に被害地域の縮小への道筋をつける」。
外来種の対策は、生態系の話であると同時に、モモやウメの生産者の経営と、サクラを軸にした観光資源の話でもあります。区分ごとに「誰が、どこで、何をするか」を市町村の地図に結びつけたこと自体を、私は環境情報化の実例として見ています。自分の市町村がどの区分に入っているか、一度見ておく価値がありそうです。対象地域なら、木の根元にフラス(木くずと幼虫の排泄物が混じったもの)を見つけたときの通報先は市町村です。
🔗 環境省 第2回クビアカツヤカミキリ対策本部(2026年9月11日・資料): https://www.env.go.jp/nature/intro/4document/data/aromia-bungii.html
🔗 防除戦略に基づく全国の市町村の地域区分(地図): https://geoportal.env.go.jp/apps/f665c5580df3406c9433ddba489b9e9b/explore