廃棄物輸出規制×二次原材料/資源循環×経済安全保障

2026-09-20

廃棄物輸出規制×二次原材料/資源循環×経済安全保障 図版1

EUが、2027年5月以降も「回収(リサイクルや燃料化など)目的の非有害廃棄物を送ってよい相手国」のリストを作っています。手を挙げた32か国・地域のうち、金属くずの受け入れを草案で認められたのは、モルドバ・モンテネグロ・北マケドニア・セルビア・ウクライナの5つだけでした。欧州委員会が2026年9月18日に公開した委任規則の草案と、241ページの評価文書に、そうあります。

背景を1つだけ。EUの廃棄物輸送規則(2024年)は、2027年5月21日から、OECDに入っていない国への非有害廃棄物の輸出を原則禁止にします(有害廃棄物はすでに禁止)。例外は、受け入れたい国が自分から申請し、EUと同じ水準で環境上適正に管理できると示して、リストに載った場合だけです。

評価の結果は、こう分かれました。

・10か国は、求めた廃棄物の大部分で「EUと同等」と認められた(アンドラ、モルドバ、モナコ、モンテネグロ、北マケドニア、フィリピン、セルビア、スリランカ、台湾、ウクライナ)

・15か国は、一部の廃棄物だけ認められた(インド、インドネシア、マレーシア、ベトナムなど)

・5か国は認められなかった(エルサルバドル、カザフスタン、ラオス、ナイジェリア、トーゴ)。香港は金属くずだけを求めて認められず、シンガポールはリチウムイオン電池を求めましたが、2026年11月からEU法上は有害廃棄物なので対象外でした

私が興味を持ったのは、金属くずの扱いです。リストに載る25か国のうち21か国が金属くずを求め、認められたのは上の5か国だけ。残る16か国は「金属くずを環境上適正に管理する措置を講じていると示せていない」として、紙・ゴム・繊維・ガラスなどは通っても金属だけ外れています。草案の前文は、金属くずには鉛や水銀などが含まれうるので、申請は特に厳密に精査する、と書いています。

そのうえで、前文の最後にこうあります。この規則の運用を見ながら、欧州委員会は「世界的な不均衡に対処し、二次原材料(再生材料)の供給を確保し、EU産業の競争力を維持するため」、廃棄物や廃棄物でなくなった物の輸出について別の措置を検討しうる、と。

有害性の話と、二次原材料の供給の話が、同じ草案に並んでいる。金属くずの結果は、環境規制が資源政策とつながる入口に見えました。

なお、プラスチックくずはこのリストとは別で、2026年11月21日からOECD非加盟国への輸出が禁止になります。草案への意見募集は10月16日まで、採択は2026年第4四半期の予定です。

🔗 欧州委員会 意見募集ページ(草案・附属書・評価文書): https://ec.europa.eu/info/law/better-regulation/have-your-say/initiatives/14861-List-of-non-OECD-countries-authorised-to-import-certain-non-hazardous-waste-from-the-EU_en
🔗 欧州委員会 環境総局の発表(2026年9月18日): https://environment.ec.europa.eu/news/commission-publishes-draft-list-countries-authorised-import-eu-waste-2026-09-18_en