自然回復の活動×データ基盤/環境情報化

英国の環境・食料・農村地域省(Defra)とナチュラル・イングランドが2026年9月16日に、「自然回復活動データモデルと仕様(Nature recovery activity data model and specification)」を公開しました。企業や団体、個人が自然を回復させる活動を記録するとき、誰が・何を・いつ・どこでやったかを同じ項目で書くための共通の型です。使うかどうかは任意で、様式やシステムは自分で選んでよい、と書いてあります。
型は2層です。
・プロジェクト(全体):名称・説明・位置・状態・状態の日付・開始日・実施組織の7項目が必須。任意の拡張項目が50
・介入(個々の行動):プロジェクト名・介入の種類・位置・状態・状態の日付・開始日・主導組織の7項目が必須。拡張項目が40
介入の種類は8つに分かれます。生息地の創出と再生、生息地の管理、農地と生産林の管理、都市と建造環境の管理、その他の圧力の低減(取水の削減や下水の越流対策)、種を対象にした行動、保護(保全契約など)、そして「可能にする行動」(証拠づくり、パートナーシップ、助言)です。
気になったのは面積の書き方です。生息地の面積は「介入した面積」ではなく「影響が及ぶ面積」を記録すると決めています。泥炭地の排水路を塞ぐ作業は、手を入れる場所は小さくても、再び湿る泥炭の面積はずっと大きい、という例が添えられています。状態(その状態になった日付とセットで記録します)の選択肢も8つあります。構想、計画あり資金なし、資金あり未着手、実施中、完了、完了して追跡調査中、中止、不明。途中で止まった活動も同じ台帳に残る設計です。
記録した情報を共有するかどうかは記録した側が決めます。共有する場合は、関連するデータを、その土地を担当する地域自然回復戦略(LNRS)の責任当局に渡すことが推奨され、責任当局は年1回、Defra側へまとめて報告します。イングランドの「2042年までに保護地域の外で野生生物の豊かな生息地を50万ヘクタール創出・再生する」という法定目標や、30by30の評価に載せたい場合は、追加で埋める項目(30by30は20項目)が指定されています。
日本では、2025年4月に施行された地域生物多様性増進法で、企業や団体の活動計画を国が認定する仕組みが動いています。認定という審査で活動を把握する日本と、任意の共通様式で記録を集めて年1回束ねる英国。自然共生サイトの認定情報を国際的なデータベースへつなぐ話(2026年8月の投稿)とも地続きで、活動の「量」を国がどう数えるかの設計は、国によって違う形で始まっているように読めました。
自分の会社や地域の活動を、いま他の誰かの記録と同じ項目で並べられるか。そこから考えてみるのがよさそうです。
🔗 Defra/Natural England「Nature recovery activity: data model and specification」(2026年9月16日): https://www.gov.uk/government/publications/nature-recovery-activity-data-model-and-specification
🔗 環境省 地域生物多様性増進法の施行と申請受付の開始(2025年4月1日): https://www.env.go.jp/press/press_04681.html