人工林の「混ざり方」の物差し/自然関連データ

2026-09-21

人工林の「混ざり方」の物差し/自然関連データ 図版1

「混交林」と一言でいっても、2種を列状に植えて下草を刈る林と、10種が混ざって下層の自然更新も残す林では、中身がまるで違います。同じ言葉で呼んでいる限り、比べられない。この問題に物差しを当てた論文が、2026年9月18日にGlobal Change Biology誌に載りました(Cagnoni ほか・オープンアクセス)。

対象は生産目的の混交人工林です。2004〜2024年の英語論文2,646本から絞り込み、153本・253林分について、10の基準で情報を取り出しました。

・樹種の構成:種数、遺伝的な距離(同属か・同科か・別科か)、窒素固定種の有無、在来か外来か、用途の数、針葉樹と広葉樹の混合

・構造と配置:混ぜ方(モザイク・列・ランダム)、種ごとの割合の均等さ、樹齢の混じり、下層の自然更新を残しているか

10基準を等しい重みで多基準分析(PROMETHEE II。林分どうしを基準ごとに総当たりで比べて順位に直す方法)にかけ、253林分の中での相対的な位置を0〜1に正規化した指数の平均は0.48でした。253林分のうち67%は2種だけ、下層の自然更新を残していたのは12%、66%は同齢林でした。著者は、名目上は混交でも、多くは単純化された単一林に近いと書いています。

指数が高い群(60林分)の平均種数は2.63で、低い群(75林分)の2.24とそれほど違いません。高い群と低い群を最も分けていたのは、樹齢の混じり、ランダムな配置、針葉樹と広葉樹の混合、在来種、下層の自然更新を残すこと、の5つでした。種数と指数の相関は0.245にとどまります。

私が気になったのは、この指数の使い道として、FSCやPEFCの森林認証、炭素・生物多様性クレジット、生態系サービスへの支払いを著者が挙げている点です。「混交林である」という宣言を、設計の属性の点数に変える提案で、木材や紙の調達先を評価する側にも関わってきます。

ただし著者自身が、指数が高いことは環境面の成果を保証しないと断っています。前歴の土地利用や土壌、気候、攪乱で結果は変わり、モニタリングと順応的管理が要る、と。対象は生産林の英語論文に限られ、熱帯やアフリカの林分は少ないこと、共著者の1人が森林再生事業会社のパートナーであることも本文に明記されています。

「混ざっている」の度合いを、253林分の中での相対的な位置として0.48のような数字で言えるようになったこと自体が、森林を調達や投資の判断に載せるための一歩に見えました。

🔗 Cagnoni et al. (2026) Global Change Biology(2026年9月18日): https://doi.org/10.1111/gcb.71111
🔗 データ(Zenodo): https://zenodo.org/records/21709121