気候適応×流域治水/自然の制約

国土交通省が2026年9月18日に、静岡県の狩野川水系来光川流域で「特定都市河川」の指定に向けた手続きに着手したと発表しました。流域面積79平方キロメートル、幹川流路延長11.20キロメートル。伊豆の国市、三島市、函南町の3市町にまたがります。まだ指定そのものではなく、関係する自治体への意見聴取に入る段階です。
根拠になるのは、2021年11月に全面施行された特定都市河川浸水被害対策法です。指定されると、河川管理者・市町村・下水道管理者などで流域水害対策協議会をつくり、流域全体の計画を立てる枠組みに入ります。
この枠組みに入るまでには時間がかかっています。参考資料によれば、2022年度から国・静岡県・伊豆の国市・函南町で内水対策の勉強会を重ね、2025年3月に狩野川水系流域治水協議会で指定を行うことに合意していました。今回の発表は、その合意を法律の手続きに乗せる段階です。
気になったのは、指定の対象になる河川の条件でした。参考資料に3つ挙がっていて、どれも川の中の工事だけでは追いつかない事情です。
・市街化の進展が著しく、流域内可住地の市街化率がおおむね5割以上の河川
・本川の水位が上がって支川の水がはけにくくなる(バックウォーター)、あるいは接続先の河川への排水制限が想定される河川
・狭窄部、景勝地の保護等のため河道整備が困難、または海面潮位等の影響により排水が困難な河川
3つ目に「景勝地の保護」が入っています。自然や景観を守ることが、河道整備という従来の手段を使いにくくする条件として、制度の側に書かれている。参考資料は、ハード整備を加速したうえで、関係者の協働と流域での貯留・浸透の機能向上を進める、と説明しています。川の中の整備をやめる話ではなく、そこに流域側を重ねる話でした。
なお、来光川がどの条件に当たるのかは発表文には書かれていません。
自然の制約は、インフラの外側にある事情としてではなく、設計の条件として制度の中に置かれることがある。そういう例のひとつだと思いました。
🔗 国土交通省の報道発表: https://www.mlit.go.jp/report/press/mizukokudo05_hh_000282.html
🔗 参考資料「法的枠組みを活用した『流域治水』の本格的実践」(PDF): https://www.mlit.go.jp/report/press/content/002023792.pdf