重要鉱物×二次資源/環境データの転用

2026-09-25

重要鉱物×二次資源/環境データの転用 図版1

チリの北カトリカ大学の研究チームが2026年9月22日に学術誌『Minerals』で公表した論文に、こうあります。レアアースが濃く含まれる鉱山廃棄物の堆積場は多くが放棄か休止の状態で、回収に向けて最初にぶつかるのは、冶金の技術ではなく閉山をめぐる規制だ、という結論です。

対象は、銅の選鉱で残る尾鉱(テーリング)の堆積場649か所です。使ったのは国の公開データだけで、チリ国立地質鉱業局が環境監視のために集めた表層試料2,131点と、2025年10月版の堆積場の台帳でした。

結果を並べると、こうなります。

・品位(1トンあたりに含まれるレアアースの濃さ)で見ると、1トンあたり150グラムを超えたのは46か所。そのうち27か所が放棄、11か所が休止、稼働中は7か所

・ただ、調べた649か所全体でも84.1%が放棄か休止で、濃さと操業の状況のあいだに特別な結びつきはない

・含有量(濃さに堆積場の規模を掛けて見積もった、全体に含まれるおおよその量)で見ると、上位20か所のうち16か所が稼働中で、放棄はゼロ。こちらは濃さが低く、動いている工程の中で副産物として回収できるかが論点になる

品位の高い場所と量の多い場所が別々で、それぞれに別の政策の手立てが要る、というのが著者の整理です。放棄された堆積場で再処理をするには、何よりも先に責任と所有をはっきりさせる必要がある、とも書かれています。稼働中の堆積場なら運営者がいて、責任と所有は定まっている。放棄された堆積場では、手を入れる前に、チリの閉山や修復の義務にどう向き合うかから決めなければならない、という対比です。

著者は、これが資源量の推計ではなく、次の詳しい調査に進む対象を絞るための一覧だと断っています。そのうえで、放棄された堆積場の閉山や修復の工事にあわせて、レアアースの分析をわずかな追加費用で行えるかもしれない、という読み方を示していました。

重要鉱物の二次資源の話は、技術や品位から語られることが多いように思います。この論文は、その手前に「誰の堆積場か」という制度の問題があること、そして環境を監視するために集めたデータが資源を探す地図にもなりうることを示しているように読めました。環境の後始末と資源の確保を、同じ調査の中で進める組み立てもありうるのかな、と感じています。

🔗 論文(Minerals・オープンアクセス): https://doi.org/10.3390/min16100966