安全保障×社会インフラ/気候の書かれ方

NATOが2026年9月に初めて公開した「強靭性の7つの基本要件」に、異常気象がこう書かれています。「異常気象や自然災害、環境条件の変化は、欧州・大西洋地域の強靭性に増していく負担をかけており、敵対的な行為の影響を重ねて強めるおそれがある」。今回の改訂で、要件の分野をまたいで考慮したリスクの一覧に、攻撃や破壊工作、サイバー攻撃と並べて入れた書き方です。
基本要件は、同盟国が平時から備えておく社会の機能を7つに分けたものです。
・政府と重要な行政サービスの継続
・エネルギー供給
・人の移動(避難や大規模な流入を含む)への対応
・食料と水
・多数の死傷者と、社会を混乱させる保健の危機への対応
・民間の通信
・民間の輸送
事務総長の前書きには、軍事力は結局のところ民間のシステムの備えにかかっている、とあります。食料と水の要件には、長引く危機の中でも、働き手や重要な投入物、他の分野への依存を含めて、不可欠な機能を続けられることが目標の一つとして書かれていました。
もう一つ気になったのは、国とNATOの計画をそろえることが、民間の事業者に、危機や紛争の状況を自社の事業継続計画に入れることを考えるよう促すことにもなる、という一文です。
企業の事業継続計画では、自然災害と地政学のリスクを別々のシナリオで立てることが多いように思います。NATOの文書は、その二つが重なって来る前提で、電力や水、通信、輸送といった社会インフラを見ています。自然や気候の制約を安全保障と同じ土俵で扱う考え方は、企業の計画にも降りてくるのかもしれません。
🔗 7つの基本要件(PDF): https://www.nato.int/content/dam/nato/webready/documents/publications-and-reports/20260918_brochure-requirements-resilience2026-en.pdf