自然×財政/補助金の改革

2026-09-27

自然×財政/補助金の改革 図版1

自然を壊す補助金を見直すという約束は、1992年のリオ宣言以来、国際的な合意に書かれ続けてきました。それでも大きな改革にはつながっていない理由を、2026年9月23日に公表された報告書『Financing Nature 2026』は「非対称」という言葉で説明しています。

報告書は、米国のポールソン研究所、ザ・ネイチャー・コンサーバンシー(TNC)、世界自然保護基金(WWF)の3者が、自然を守るための資金の現状をまとめたものです。

非対称の中身は、こういう説明です。

・補助金を見直そうとする財務などの省庁は、補助金で利益を得ている業界という強い支持層と、しばしば向き合うことになる
・見直しで守られる自然の側には、それに見合う支持層がない

そのうえで報告書は、補助金は自然を壊すつもりで作られることはまれで、多くは食料安全保障や農村の雇用、価格の安定といった本来の目的を持っている、とも書いています。

だから処方も、環境省だけの仕事にはしていません。財務省が主導に加わり、農業やエネルギーの省庁と組むこと。全部を洗い出す前に、費用と影響の大きい2つか3つの分野から分析を始めればよいこと。成功例として、コロンビアの省庁横断の閣僚会議が、保護地域・保全地域の目標と補助金の見直しを同時に進めた例が挙がっていました。

行政は、仕事を効率よく進めるために省庁ごとに分業してきた、と私は捉えています。自然を扱うときには、その分業が部分最適どうしのトレードオフとして大きく表に出てきてしまう。報告書の処方は、それをどう全体最適に近づけるかという話に読めました。それぞれの専門性をつなぐことは、環境情報化でいう「つなぐ」そのものです。難しい課題ですが、だからこそ、そこに機会もあるのだと思います。

🔗 報告書(PDF): https://www.conservationgateway.org/content/dam/tnc/nature/en/documents/f/i/FinancingNature2026MidDecadeUpdate-d2.pdf

🔗 TNCの発表: https://www.nature.org/en-us/newsroom/financing-nature-2026-report/