AIインフラ×環境情報化/データセンターを何で測るか

世界経済フォーラム(WEF)が2026年9月に公表したAIインフラ向けのプレイブック『Data Centre Sustainability and Resilience: A Decision Playbook for AI Infrastructure』に、こうあります。どこでも通用する「持続可能な」「強靭な」データセンターというものはなく、ふさわしい戦略はその土地の条件で決まる。
施設の運用効率が高くても、逼迫した電力網に頼っていたり、水ストレスの高い地域にあったりすることがある、という問題意識です。そこでプレイブックは、電力や水の使用効率(PUEやWUE)は残したうえで、評価の指標を広げることを提案しています。
・ライフサイクル全体の炭素排出(建設・製造時の分と運用時の分の合計)や、直接・間接・内包分(機器や建材の製造に使われた分)まで含めた水の総量
・地域の水ストレスで重みづけした水の使用量(WUI)や、気候災害へのさらされ方
・地域への便益、騒音や景観への影響、生物多様性の増減
提案した指標のおよそ4分の3は、公開・非公開を問わず、まだ広く報告されていないとも書かれています。市場の制約は、冷却の需要、水不足、土地、電力不足、規制、地域の反対の組み合わせで、例示的な6つの型(アーキタイプ)に整理されていて、東京はフランクフルトと並んで「土地と電力がボトルネックの市場」の例に挙がっていました。
所属する国際社会経済研究所(IISE)では2026年7月にウェビナーを開き、このプレイブックに先立って2025年12月に出たWEFの報告書『Nature Positive: Role of the Technology Sector』を、NECの岡野豊さんに解説してもらいました。岡野さんは、WEFのガイダンスを「行動の処方箋」、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)のセクターガイダンスを「開示の設計図」と整理していました。岡野さんは今回のプレイブックにも、専門家として助言する立場で参画しています。
今回のプレイブックは、そこに「いつ、誰が、何を決めるか」という意思決定の段取りを足したものに見えます。日本でも2026年9月に、経済産業省がGX戦略地域の第1弾を認定し、データセンター集積型として9地域(10地点)が認定されました。電力や水、土地の条件は地域ごとに違うので、その土地に合ったデータセンターのあり方を考えるうえで、このプレイブックは示唆を与えてくれそうです。自然や気候の情報を、立地や投資の判断に使える形にしていくこと(私はこれを環境情報化と呼んでいます)は、AIインフラでも具体的な指標の話に入っていくのだと思いました。
🔗 WEFの記事: https://www.weforum.org/stories/artificial-intelligence/data-centre-ai-sustainability-resilience/
🔗 プレイブック(PDF): https://reports.weforum.org/docs/WEF_Data_Centre_Sustainability_and_Resilience_2026.pdf