水の配分×合意なき意思決定

2026-10-01

水の配分×合意なき意思決定 図版1

米国西部のコロラド川は、2026年10月1日からの運用を、新しいルールのもとで始めることになっています。流域の7州は長期のルールに合意できず、米内務省は「10年の枠組みを先に決め、具体的な運用ルールは原則2年ごとに出す」という形を選びました。

8月21日に署名された決定記録によると、背景はこうです。

・流域では26年にわたって干ばつが続き、2025〜26年の冬の積雪は記録が始まって以来の少なさだった

・パウエル湖とミード湖の貯水量の合計は1,250万エーカーフィート(約154億立方メートル)で、パウエル湖が水をため始めた1963年より前以来の低さ

・運用を決めてきた2007年の暫定ガイドラインなどが、2026年9月30日で期限を迎える

・内務長官は7州の知事を何度も集めたが、合意には至らなかった

何で合意に至らなかったのか。決定記録によると、7州はパウエル湖とミード湖をあわせて動かす方針で一致しておらず、下流の3州のあいだでも、ミード湖の運用でいくつかの点がまだ合意に至っていません(話し合いは続いています)。未合意の事項には、次の点が含まれます。

・節水で確保した水や、もともと川の水ではない水を、ミード湖で引き続きため、配る規定

・将来の不足(配水の削減)をどれだけの量にし、どう配るか

だから決定記録は、こうした点について具体的な規定は置かず、幅だけを決めています。

合意を待たない理由も、決定記録ははっきり書いています。貯水池の運用は止められないので、10月1日には基準が要る。そこで、2027〜2036年の10年間について、運用の原則、放流量や削減量などの主要な閾値と範囲、そして運用ルールを決める手続きを先に定める。その範囲の中で、運用ルールは原則2年ごとに出す(流域の合意があれば、もっと長い期間にもできる)。合意案が出てくれば優先的に検討し、法と枠組みに合えば一部または全部を取り込める、という設計です。

最初の2年(2027〜2028年)のルールでは(パウエル湖の運用は、10月から翌年9月までを1年度として数えます)、下流の3州(アリゾナ・カリフォルニア・ネバダ)への配水を、それぞれの年に125万エーカーフィート(約15億立方メートル)減らします。上流のパウエル湖は、湖面の標高が3,510フィート(約1,070メートル)を上回る見込みを保てるように放流量を決める。その下の3,490フィート(約1,064メートル)を割ると、ダムから水を出せる経路が限られ、発電にも影響する、と決定記録は説明しています。

見通しが立てにくいときに、ルールを長く固定するのではなく、原則と範囲を決めて、短い間隔で決め直す。水を使う側にとっては、決定が下流の州の水の使い方に見通しを示しているのは2027年と2028年の分まで、という前提で計画を立てることになります。自然の制約が厳しくなると、資源の量だけでなく「決め方」も変わっていくのだと思いました。

🔗 決定文書(米開拓局): https://www.usbr.gov/ColoradoRiverBasin/post2026/decision-doc/index.html

🔗 米内務省の発表(2026年8月21日): https://www.doi.gov/pressreleases/interior-department-finalizes-plans-2027-2028-colorado-river-operations