自然再生×クレジットの数え方

2026-10-01

自然再生×クレジットの数え方 図版1

森林を再生する事業は、その区域の外側の木にどう影響しているのか。英ケンブリッジ大学などのチームが、サハラ以南アフリカの再生事業12万9,982区画(約680万ヘクタール)を衛星データで追い、Nature Sustainability(2026年9月30日公開)に結果を出しました。

何年か後に事業が始まる区域(まだ事業を始めていない区域)と比べると、10年後の木の消失は、再生の方法によって向きが分かれました。

・自然の回復を助ける再生:事業地の中で6.8ポイント、周囲10kmで8.7ポイント、木の消失が少なかった

・アグロフォレストリー(畑に木を植えて、農業と組み合わせる方法):事業地の中で7.9ポイント、周囲10kmで7.5ポイント、木の消失が多かった

論文は、外側で減った場合を「正の漏れ出し(positive leakage)」、増えた場合を「負の漏れ出し(negative leakage)」と呼んでいます。アグロフォレストリーは耕している畑で行われることが多く、木が育つと日陰などで収量が落ちる。その分を補うために近くの森や休閑地を切り開くのではないか、と著者らは考えています。周囲で木の消失が増え始めるのは、植えてから6年ほど後でした。

アグロフォレストリーは、ボン・チャレンジ(2030年までに3億5,000万ヘクタールの再生をめざす国際目標)の誓約の48%を占める、とも書かれています。ただし国や地域で結果の幅は大きく、東南アジアでは逆の結果を示した研究もある、と著者ら自身が断っています。

それでも、再生の成果を事業地の境界の中だけで数えると、外側で起きたことが抜け落ちる。著者らは、炭素クレジットの認証基準や土地の計画に、漏れ出しへの備えを組み込む必要があるとしています。自然の価値をお金に換える仕組みほど、「どこまでを数えるか」という線の引き方が効いてくるのだと思いました。

🔗 論文(Nature Sustainability): https://doi.org/10.1038/s41893-026-01936-2