NbS・沿岸のレジリエンス/ブルーカーボンの評価

2026-10-02

NbS・沿岸のレジリエンス/ブルーカーボンの評価 図版1

海岸の塩性湿地(潮の満ち引きで海水をかぶる湿地)は、世界で増えている場所と減っている場所があります。米ボストン大学の研究者らが、衛星で見た2000〜2019年の変化を、海面上昇の速さと、潮・泥・波の条件で比べた論文を、9月25日に Science Advances に出しました。

結果は次のとおりです。

・海面上昇の速さと、湿地の面積の増減は、世界全体で見ると関係が弱かった

・面積の増減をよく説明したのは、潮の満ち引きの大きさ(潮差)、水中に浮かぶ泥などの粒子の量、波が高いときに粒子が増える連動の強さ(波に伴う堆積物の動きの目安)。変化のばらつきのうち説明できた割合は、それぞれ単独で見て約46%、57%、66%(足し合わせた数字ではありません)

・同じ速さで海面が上がっても、泥が届いて波に持ち去られにくい場所では湿地が保たれ、そうでない場所では失われる

著者らは、この3つから「塩性湿地の脆弱性指数」をつくりました。湿地が残りやすい海岸と減りやすい海岸を世界地図で示す指数で、地点ごとの変化を言い当てるものではない、と書いています。

気になったのは、ブルーカーボン(海岸や海の生態系が取り込んで蓄える炭素)の扱いです。論文は、湿地の面積と炭素の蓄積量だけで評価すると、壊れやすい場所では、炭素が残る期間を長く見すぎるおそれがあると書いています。この指数は、詳しい調査の前に、炭素が長く残るかどうかのリスクを大まかに選り分ける道具として使える可能性がある、というのが著者の提案です。

自然を使った海岸の守りや炭素クレジットを考えるときは、面積に加えて、泥と波の条件も同じ表に載せる。どの情報を同じ表に載せるかで、評価の結果が変わりうるのだと思いました。

🔗 論文(Science Advances): https://doi.org/10.1126/sciadv.aee9917