電力系統×社会インフラの所有

2026-10-04

電力系統×社会インフラの所有 図版1

英国政府は9月29日、公的所有の新しい組織「グレート・ブリティッシュ・グリッド(GBG)」の設立を発表しました。政府が出資するエネルギー投資会社グレート・ブリティッシュ・エナジーの中に置き、送電網への投資を担わせます。

読み違えやすいのは、既存の送電網や事業者を国有化するものではないという点です。発表文の注記は、既存の送電事業者の役割は変わらず、規制機関Ofgemと系統運用者NESOの役割もそのままだと書いています。GBGは、民間の投資家や事業者と並んで、新しい送電事業の競争入札に参加できる担い手として加わる形です。

同じ発表には、電力を「つなぐ側」の詰まりを解く手が並んでいます。

・接続の待ち行列を見直し、300GWを超える投機的な容量を外す改革を、NESO・Ofgemと進めている

・発電事業者や企業が自分で接続設備を建てる「自己建設」を広げる。アイルランドでは同様の改革で、接続までの期間が最大11か月縮んだとしている

・送電事業の競争入札を加速し、GBGを含む幅広い担い手が競えるようにする

お金の面では、立ち上げの費用はグレート・ブリティッシュ・エナジーの既存予算でまかない、長期の予算は今後の歳出見直しで検討する、とだけ書かれています。

電力の制約というと発電所の数の話になりがちですが、英国はここで、つなぐ側に公的な資本を足すという選び方をしたように見えます。所有を丸ごと移すのではなく、新しい案件に担い手を1つ増やす形です。日本でもデータセンターや再生可能エネルギーの立地で、系統への接続が論点になっています。社会インフラのどこに公的な手を入れるのか、という設計の一例として見ておきたいと思いました。

🔗 英国政府の発表(9月29日): https://www.gov.uk/government/news/great-british-grid-to-speed-up-connections-and-cut-bills

🔗 Ofgem 接続改革の決定(2025年4月): https://www.ofgem.gov.uk/sites/default/files/2025-04/Summary-Decision-Document-TMO4-package.pdf