供給網×森林消失/調達

世界の森林消失のうち、国境を越えた消費が引き起こしている分はどれくらいか。北京理工大学などのチームが9月28日に Communications Earth & Environment に出した論文では、2022年で約38%でした(4つの要因による森林消失1,312万haのうち、501万ha)。
ただ、この割合は、森を何のために切ったかで大きく分かれます。論文の集計では、国外の消費につながる割合は、
・鉱業・エネルギー:49%
・伐採(木材などの林産物向け):47%
・恒久的な農地:31%
・居住地とインフラ:国内の需要が86〜90%
論文はここから、国際的に取引される産品には供給網のガバナンスを、インフラや開発には国内の土地利用計画を、と分けて手を打つ必要があると書いています。
流れの向きも変わってきています。国際分のうち、所得階層の低い国で起きた森林消失が、より高い所得階層の国の消費につながる流れは、2001年の46.71%から2022年は39.22%に。世界全体の森林消失フットプリント(各国の消費が国内外で引き起こした森林消失)に占める消費国の割合は、米国が27.21%から17.95%に下がり、中国は3.83%から12.80%に上がりました。日本は、森林消失を国外に頼る側(純消費国)ではあるものの、その依存が弱まっている国のグループに入っています。
「森林消失を引き起こしているのは誰か」という問いに、品目ごとに違う答えが出る、というところが大事だと思いました。木材や、鉱業・エネルギーにつながる調達では、半分近くが国外の消費に結びついている。一方で、宅地やインフラの開発による消失は、ほとんどがその国の中の需要です。調達先を確認するデューデリジェンスで森林を見るときも、品目によって問いの立て方が変わるはずです。
なお、農地の分類には既存の植林地での伐採と植え直しも含まれうるので、輸出に結びつく分は多めに出ている可能性がある、と著者は断っています。
🔗 論文(Communications Earth & Environment・2026年9月28日・受理稿): https://doi.org/10.1038/s43247-026-04093-8
🔗 森林消失の要因の地図(Sims ほか 2025): https://doi.org/10.1088/1748-9326/add606