気候適応×道路インフラの運用/事業継続

2026-10-08

気候適応×道路インフラの運用/事業継続 図版1

大雨のとき、アンダーパスをいつ通行止めにするのか。国土交通省が10月6日に出した「アンダーパスにおける冠水事故防止に向けたガイドライン」は、排水ポンプなどの設備で冠水を防ぐことだけに頼らず、冠水する前に止める、という対応を加えました。

きっかけは、8月の千葉の豪雨です。アンダーパスの冠水で人的・物的被害が出ました。千葉市の国道16号のアンダーパスでは、非常用電源設備が動かなかったことが原因と考えられる冠水が起きています。その後も、各地で同じような被害が続きました。

ガイドラインの考え方を並べると、

・被害や冠水の履歴(過去5年が基本)、幹線道路かどうかなどで、アンダーパスを4つのリスク区分(特に高い・高い・一定の・注意喚起や監視で対応)に分ける
・リスクが特に高い箇所は、冠水する前に通行止めにする。判断に使うのは、警戒レベル4相当の気象情報(今年5月に始まった「レベル4大雨危険警報」など)と、箇所ごとに決めた時間雨量の基準。過去に大きな被害が出た箇所は、どちらかに当たれば止める。それ以外の、リスクが特に高い箇所は、両方がそろったら止める(広い範囲で一律に止めると交通への影響が大きいため)
・時間雨量の基準は、集水面積や排水ポンプの能力、排水先の下水道や河川の状況から箇所ごとに決め、周辺の開発などで条件が変われば見直す
・停電や排水設備の故障が起きたら、冠水を待たずに早めに止める(フェールセーフ)

私が大事だと思ったのは、守り方の前提が広がったことです。これまでは、設備の能力の範囲で冠水を防ぎ、冠水したら止める、という順番でした。そこに、雨の情報と設備の状態を見て、危なくなる前に止める、という判断の基準が加わった。しかも、その基準は、まわりの開発や下水道の整備が変われば動く前提になっています。

気候の変化で、設計した能力を超える雨が増えるなら、インフラの強さは設備の性能だけでなく、「いつ閉じるか」を前もって決めておけるかにもかかってくるのだと思います。企業の拠点や物流でも、同じ問いは立つはずです。

なお、地方公共団体が管理する道路には、ガイドラインを参考に対策をとってほしい、という技術的助言として示されています。国と地方自治体が管理する道路のアンダーパス部は、2025年3月末時点の都道府県別の集計を足すと、全国で3,841か所です。

🔗 国土交通省 報道発表(2026年10月6日): https://www.mlit.go.jp/report/press/road01_hh_002153.html

🔗 ガイドライン全文と関連資料(道路局): https://www.mlit.go.jp/road/road_fr4_000208.html