再エネ×自然/事後調査とデータ

2026-10-08

再エネ×自然/事後調査とデータ 図版1

洋上風力が鳥や海の生き物に与える影響は、建てる前の予測だけでは分かりきらない。10月2日に環境省が出した、新潟県村上市・胎内市沖の洋上風力発電事業(1.5万kW級×46基)の環境影響評価準備書に対する環境大臣意見は、その前提に立って、動かしてから測ることを求めています。

意見はまず、洋上風力は国内での稼働事例や環境影響評価の実績が少なく、影響の科学的な知見が十分にたまっていないので、事後調査(事業者が工事中や稼働後に、実際の影響を測る調査)が重要だ、と書きます。そのうえで、国のモニタリングガイドライン(2025年9月)が示す項目のうち、事業者の事後調査の計画に入っていなかった3つを加えるよう求めました。

・工事中の水の濁りの広がり
・稼働中の水中音の伝わり方
・稼働中の風車への付着生物などの状況

これと並んで、鳥については、こう求めています。洋上では鳥の死骸を確認する調査が非常に難しいので、風車にカメラやマイクロホンを付けて衝突を監視するのが有効だ。画像と音声を速く解析して、種の特定や衝突の検知ができる機材を検討すること。ハクチョウ類の衝突が相対的に多いと予測された風車には、カメラとマイクロホンの追加設置を検討すること。重大な影響が分かったら、鳥が近づいたときに止まる装置や、渡りの時期・時間帯の運転調整を講じること。

私が注目したのは、この仕組みが一つの事業の中で閉じていないことです。ガイドラインは、事業者が測ったデータを国に提供し、国が一元的に管理・分析して、後に続く事業の環境影響評価に活かし、データがたまった先には、立地選定での適正な環境配慮にも活かすことを目指す、という流れを描いています。今回の大臣意見も、国へのデータ提供に努めるよう求めました。

再エネを増やすことと、自然への影響を抑えることの両立は、建設前の環境影響評価だけで決まるのではなく、動かしてからのデータがどれだけ積み上がり、次の計画に使われるかにかかっているのだと思います。

🔗 環境省 報道発表(2026年10月2日): https://www.env.go.jp/press/press_05601.html

🔗 洋上風力発電所の環境影響に係るモニタリングガイドライン(2025年9月): https://www.env.go.jp/press/press_00689.html