自然再生×在来種子の供給網

2026-10-09

自然再生×在来種子の供給網 図版1

自然を再生する目標を立てるとき、そこに植える在来植物の種は、どこから来るのか。米サウスダコタ州立大学のチームが10月6日に People and Nature に出した論文は、米国北部グレートプレーンズの在来種子の供給網を、60人への聞き取りと10か所の現場の観察で調べています。

この地域には北米でも最大級の温帯草原が残っていて、再生の余地は大きい。でも、在来種の種子をとる、育てる、使う、というつながりがまだ細い、と著者は書いています。

聞き取りで出てきたのは、たとえば次のようなことです。

・需要が公的な補助事業の予算に連動していて、予算が削られると価格も需要も急に落ちる。2000年ごろには20数軒あった小さな生産者が、いまは2〜3軒だという声もあった
・種子の洗浄や保管の設備は、手づくりや試行錯誤に頼っている。発芽の検査は1種あたり約150ドルかかり、同じ種子でも検査機関によって結果が違うことがある
・最低価格の入札では、安くて種類の少ない種子の混合が選ばれやすい
・地元の種子が足りず、他の地域から取り寄せることもある

著者は、設備を増やすだけでは足りないかもしれず、それを使いこなす知識や人のつながりと組み合わせることで強くなる、と書いています。また、地域の種子の仕事がすっかり一つの仕組みにまとまり、同じ資金に頼るようになると、資金が削られたときに地域全体の種子の仕事が弱まりうる、とも指摘しています。

日本でも、日本緑化工学会誌の技術報告が、別の文献を引用して、地域性種苗(その地域に由来する種や苗)を確保するには、種子の採取・保管・育苗までに3年以上かかることも想定される、と紹介しています。自然の再生は、目標の面積だけでは進まず、その材料をつくる人と供給網の側からも計画しておく必要があるのかもしれません。再生や緑化を発注する側から見ると、種子の出どころと、その供給がどれだけ安定しているかも、持っておくべき自然の情報なのだと思います。

🔗 論文(People and Nature・2026年10月6日): https://doi.org/10.1002/pan3.70434