資源循環×都市の木/地域の仕組み

2026-10-09

資源循環×都市の木/地域の仕組み 図版1

街路樹や公園の木、空き家を解体したときに出る木材。都市にもこうした木はストックとして積み上がり、伐採や解体のたびに出てきますが、資源として回そうとすると、担当がばらばらです。森林総合研究所の森井拓哉さんが『木材利用システム研究』12巻(2026年9月)に書いた報告は、神戸市がこれを「神戸市みどりの基本計画2050」で部局横断の管理に位置づけた経緯を、聞き取りと市会の会議録から追っています。

神戸市では、所管がこう分かれています。

・森林の管理と伐った木は、建設局の森林課
・街路樹は、公園部と道路工務課
・古材のリサイクルは建築住宅局、その最終的な処分は環境局

報告は当初、こうした縦割りのもとでは、都市の木をまとめて管理する制度化は難しい、という仮説を立てていました。そのうえで報告は、神戸市の取り組みの特徴として、2つの機能を挙げています。

・窓口を置いて、議論を開く。「こうべ森と木のプラットフォーム」には、2026年8月時点で209の団体と個人が参加している
・置き場を用意する。古材の事業者は在庫を置く場所が足りなかったが、環境局が使い方を検討していた廃棄物処理施設の跡地の一部が、事業用地として提供された

広葉樹の材や古材は、量が少なく種類が多いので、事業として回すには多様な在庫が要り、その置き場がボトルネックになる。市が自分の土地を出したことは、そのボトルネックを一つ外して、ほかにどんな壁があるかを洗い出すための実験的な介入だと報告は位置づけています。所管の法令や予算の枠は大きくは変わっておらず、部局を束ねているのは資源循環や脱炭素という政策のアイデアだ、という読みです。

同じ都市の木の話で思い出したのが、神奈川県座間市の家庭から出る剪定枝です。座間市では、それまで事前申し込み制だった剪定枝の収集を、燃えるごみの日に同じ集積所へ別にまとめて出してもらうルールに変えました。燃えるごみの収集車が剪定枝のある集積所に小田急電鉄のシステム(WOOMS)で印をつけ、後から別の車がそこだけを回って集めます。集めた剪定枝は専用の工場で発電燃料用のチップになり、分別収集量は2020年度の218トンから2023年度の951トンに増えた、と紹介されています。

資源循環というと、技術や回収の仕組みに目が行きがちです。でも神戸の事例でボトルネックになっていたのは物をいったん置いておける土地で、座間の事例で変えたのは出し方と集め方でした。都市の緑を、景観や維持費の対象としてだけでなく資源のストックとして見るなら、まず要るのはこうした地味な基盤なのかもしれません。なお報告は、この仕組みが根づくのか、森林科学の専門家である副市長や森林官といった人の配置に頼っているのかは、まだ判断できない、としています。

🔗 報告(『木材利用システム研究』第12巻・J-STAGE): https://www.jstage.jst.go.jp/article/jwus/12/0/12_14/_article/-char/ja/

🔗 座間市の剪定枝(KOEL DESIGN STUDIO インタビュー): https://www.ntt.com/lp/koel/semipublic-interviews/wooms/