家庭ごみ×プラの制度評価/資源循環

プラスチック資源循環促進法(プラ新法)が2022年4月に施行されて、家庭から出る食品の容器包装プラスチックは、実際に「燃やすごみ」から「資源」へ移ったのか。移ったとしたら、何年かかったのか。東京都環境科学研究所の小泉裕靖さんが『廃棄物資源循環学会論文誌』37巻に出した研究ノートは、東京二十三区清掃一部事務組合が毎年10〜11月に約300世帯を対象に行ってきたごみの中身の調査(2017〜2024年度。結果は1人1日あたりのグラムに換算)から、これを追っています。
結果は、
・可燃ごみと資源に出された食品の容器包装プラを合わせた量を100%として、そのうち資源として出された割合(資源回収率)は、2023年度までは35〜40%で、2024年度に50%を超えた
・2021年度と2024年度を比べると、1人1日あたり、可燃ごみの中は34.1gから28.5gに減り、資源の中は22.1gから30.2gに増えた。いちばん動いたのは袋・フィルム・ラップ
・可燃ごみと資源を合わせた量は1人1日60g程度で安定していた(2021〜2024年度)。減ったのではなく、燃やすほうから資源のほうへ移った
資源に回る量が増えた背景にあるのは、回収の側の変化です。プラ新法で、市区町村はプラスチックごみの分別の基準をつくり、分別して出してもらうための措置をとるよう努めることとされ、容器包装と製品のプラスチックを一緒に集めて、容器包装リサイクル法のルートで再商品化できるようにもなりました。論文によると、23区で「プラその他」(袋やパックなど)の分別回収が行われている地域に住む人の割合は、施行に向けて2021年度以降に大きく伸びています。それでも、体制が広がってから資源回収率が実際に上がるまでには、1年ほどかかっています。収集の現場からは「新ルールが始まったからといって、住民がすぐに分別に協力してくれるわけではない」という声も紹介されています。
比べられているのが、2020年7月のレジ袋有料化です。こちらはすぐに効いて、可燃ごみの中のレジ袋も資源の中のレジ袋も減りました。著者は、レジ袋有料化はすぐに表れた「リデュース」、プラ新法は施行後2年ほどで回収の仕組みと分別の意識が定着しつつある可能性がある「リサイクル」と整理しています(各区の独自の施策の影響は分けていない、とも)。
ここから考えたのは、制度の効果を測る時間の幅です。仕組みを変えてから人の行動が変わるまでに、2年ほどかかるのかもしれない。施行の翌年の数字だけで「効かなかった」と判断すると、見誤るおそれがあります。毎年同じ時期に同じ方法でごみの中身を調べてきた記録があったから、この時間差が見えたのだと思います。50%を超えたいまも、残りの半分近くは燃やすごみに出ています。報告はその先の打ち手までは論じていませんが、ここをどう資源に回していくかが、次の問いになりそうです。
🔗 論文(『廃棄物資源循環学会論文誌』37巻・J-STAGE): https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsmcwm/37/0/37_89/_article/-char/ja/
🔗 プラスチック資源循環促進法の概要(環境省): https://www.env.go.jp/content/000058788.pdf