港の脱炭素×認証の段階

港のコンテナターミナルの脱炭素を、何で評価するか。国土交通省が2025年3月につくった「CNP認証(コンテナターミナル)」の国際版ガイドラインが、10月1日に発行されました。国交省と国際荷役調整協会(ICHCA)が共同でとりまとめ、ICHCAの冊子(Briefing Pamphlet 43)として出たもので、海外の港の関係者に向けて、制度の考え方や評価基準をまとめています。
このガイドラインで大事だと思ったのは、段階の分け方です。どのレベルでも、脱炭素の計画と、1TEUあたりのCO2排出量の計算・公表が共通の条件。そのうえで段階を分けるのは、主に荷役機械や照明を低炭素・脱炭素の型に置き換えた割合で、上のレベルでは船とトラックへの取り組みが加わります。ガイドラインも、ターミナルの排出削減量を評価するだけでなく、省エネや生産性の向上を含めた取り組みを、それぞれの実情に合わせて段階的に評価する設計だと説明しています。
仕組みは5段階です。
・レベル1:脱炭素の計画(具体的な取り組み・KPI・目標・年1回以上のモニタリング)と、1TEU(20フィートコンテナ1個分)あたりのCO2排出量の計算・公表。これはすべてのレベルで必須
・レベル2〜5:岸壁のクレーン(インバーター式など)、ヤードのクレーン(電動・ハイブリッドなど)、ヤードの照明(LED)の導入率が、台数で10%・50%・80%・100%以上。脱炭素の電気や燃料の導入、自動化で必要な削減が得られた場合も、その状況で評価する
・レベル4以上:環境性能の高い船への入港料の優遇などと、ゲート前のトラックの渋滞を減らす予約システムなども要件
1TEUあたりのCO2の計算は、ターミナルの中で使う燃料と電気の排出が基本で、ターミナルの外の輸送や物流施設は含めません。ただし、認証の項目には、船やトラックの脱炭素につながる取り組みも入っています。有効期間は3年、評価の項目は5年ごとに見直すとしています。2026年6月時点で国内の11ターミナルが取得していて、ガイドラインには、博多港のアイランドシティ(レベル5+)と、川崎港のコンテナターミナル(レベル4+)が事例として載っています(「+」は、そのレベルの要件を満たしたうえで、要件の外にある推奨の項目をいくつ達成したかを表す印。項目の数だけ「+」を重ねるので、「++」なら推奨2項目)。川崎港では、CO2フリーの電気、水素に対応したヤードクレーン、照明のLED化が挙げられています。
ここから考えたのは、何を数えて段階を分けるかで、評価の役目が変わるということです。主に設備の導入率で分ければ、扱う貨物の量や運び方が違うターミナルどうしでも、次に何をすればいいかが見えやすい。一方で、荷主や金融機関がこの認証を使うなら、レベル(取り組みの進み具合)と、別に公表される1TEUあたりのCO2(結果)を並べて読む必要がありそうです。環境の評価は、使う側が何を読み取れるかまで含めて設計されるものなのだと思います。
🔗 国交省の発表(2026年10月1日): https://www.mlit.go.jp/report/press/port04_hh_000569.html
🔗 ガイドライン(ICHCA Briefing Pamphlet 43): https://ichca.com/international-guidelines-for-carbon-neutral-port-cnp-certification