気候適応×森の管理の方針

気候変動で山火事が激しくなり、焼けたあとに元の森へ戻らない場所が出てきたとき、森の管理者は何を選べるのか。米国イエローストーン周辺の国立公園や国有林などの管理者20人に聞き取りをした論文が出ました(Ecology and Society、コロラド大学ボルダー校ほか)。
著者が使ったのは、気候への適応の選択肢を3つに分ける枠組みです。
・抵抗する:元の状態を保とうとする
・受け入れる:変化をそのまま受け入れる
・導く:望む姿へ、積極的に変えていく
聞き取りの結果、いまの対策のほとんどは「抵抗する」側にありました。理由として挙がったのは、機関の任務、訴訟のリスク、昔の状態を前提にした世間の期待です。一方で、病気に強い木や気候に合う木を植えるホワイトバークパイン(高い山のマツ)の林のように、「抵抗」と「導く」が混ざった対策も出てきています。
私がいちばん考えさせられたのは、「受け入れる」が明言された対策が1つだけだったことです(ロッジポールマツの林の一部で、山火事のあとの再生を自然に任せる)。著者は、予算や人手が足りない場所では、管理者が選んで受け入れているのではなく、意識しないまま受け入れているのかもしれない、と見ています。だからこそ、受け入れることも正面から選べる選択肢として扱える枠組みに意味がある、という読み方です。
管理計画にも差があり、20年以上前に書かれた計画で動いている単位もあれば、新しい知見を反映した計画で動いている単位もあるそうです。
自然の目標というと「元の状態に戻す」を思い浮かべがちですが、気候が変わっていく中では、どこを守り、どこを受け入れ、どこを導くかを場所ごとに選ぶ意思決定になっていくのだと思います。自社の土地や調達先の森について目標を立てる企業にも、同じ問いが向かってくるのではないかと思いました。
🔗 論文(Ecology and Society 31(4):7): https://doi.org/10.5751/ES-17673-310407
🔗 本文PDF: https://ecologyandsociety.org/vol31/iss4/art7/ES-2026-17673.pdf