再エネ×海鳥の累積影響

洋上風力発電所が1か所ではなく、海域にいくつも並んだとき、海鳥の集団にはどれくらい響くのか。フランス大西洋岸で繁殖する海鳥18種と、建設済み・建設中・計画中の洋上風力7か所を合わせて、30年後の個体数を見積もった論文が出ました(Journal of Applied Ecology、2026年10月号、フランス国立科学研究センター〔CNRS〕ほか)。
方法は、風車がある場合とない場合の2通りで個体数の行方を計算し、その差を見るものです。衝突の数は、鳥の飛び方と風車の大きさから衝突の確率を出すモデルの推計を使っています。
結果の中心は、衝突の数と集団への影響が一致しなかったことです。
・シロカツオドリは、年に約229羽がぶつかると見込まれたが、30年後の個体数の差は悲観側の見積もりで最大15%
・オオハシウミガラスは、年に約5羽だが、悲観側の見積もりで最大70%
数の少ない種では、わずかな衝突でも集団に大きく響く、と著者は説明しています。調査地域のオオハシウミガラスは、2021年時点で約600羽です。
ここでの「最大」は、悲観側(95%分位)で見た値です。絶滅のおそれのある種についての欧州の法令に合わせた、予防的な見方です。中央値では、シロカツオドリ12%、オオハシウミガラス25%でした。衝突の推計も、予防の立場から悲観的な値を使ったと断っています。また、扱っているのは衝突だけで、鳥が風車を避けることで餌場を失う影響は含んでいません。
著者が問題にしているのは、これまでの評価の多くが1か所の風力発電所ごとで、いくつもの発電所の影響を合わせて予測する枠組みが欠けていたことです。今回の枠組みは、どの種、どの発電所にも当てはめられるとしています。
日本でも洋上風力の計画が各地で進み、環境影響評価は事業ごとに行われています。再エネを増やすことと海の生きものへの影響を抑えることの両立は、1事業ずつの評価を積み重ねるだけでなく、海域全体で影響を足し合わせて見る仕組みと、そのためのデータにかかっているのだと思います。
🔗 論文(Journal of Applied Ecology・2026年10月号): https://doi.org/10.1111/1365-2664.70601