都市緑化×企業の屋根

2026-10-19

都市緑化×企業の屋根 図版1

国土交通省が毎年まとめている「全国屋上・壁面緑化施工実績調査」の結果が、10月16日に公表されました。2025年に新しく施工された屋上緑化は約21.9ha、壁面緑化は約4.8ha。調査を始めた2000年からの26年間の累計は、屋上が約656ha、壁面が約137haです。

発表に添えられた建物の用途別のデータを見ると、2025年の首位は工場・倉庫・車庫でした。

・2025年の屋上緑化(用途の記入があった約21.9万㎡)で最も多かった用途は、工場・倉庫・車庫で約8.4万㎡(約38%)

・この用途の単年の面積としては、26年間で最も大きい(これまでの最大は2016年の約5.8万㎡)

・全期間で最も多い住宅・共同住宅は、2008年の約13万㎡に対して、2025年は約2.7万㎡

なぜ工場や倉庫で増えたのかは、資料には書かれていません。発表本文では、雨水をためて流出を抑えたり、生物多様性を確保したりするグリーンインフラとしての大規模な屋上緑化の例として、名古屋大学東山キャンパスの施設と麻布台ヒルズを紹介しています。

一方で、この調査が数えているのは施工した面積で、全国の造園建設会社など573社へのアンケート(回収率48.9%)によるものです。屋上緑化に期待される働きは、発表本文が挙げる雨水の流出抑制や生物多様性の確保だけではありません。国交省はもともと、ヒートアイランド現象の緩和や都市の低炭素化の観点から屋上緑化を進めていて、過去の調査結果の事例紹介では、建物内部の熱負荷を減らす効果にも触れています。ただ、こうした働きがどれだけあったかは、この統計からは分かりません。直近2年の値は暫定値で、今後変わる可能性があるとも断っています。

工場や倉庫の屋根は、都市の中で企業がまとまった緑をつくれる場所の一つです。その緑が何をしているかを測れるようになれば、企業にとっては自然関連の取り組みや建物の省エネの実績として、地域にとっては雨や暑さに強いまちづくりの材料として使えるはずです。26年続く面積の統計に、働きの記録をどう足していくか。次の論点はそこにあるのだと思います。

🔗 国土交通省 報道発表(2026年10月16日): https://www.mlit.go.jp/report/press/toshi10_hh_000614.html
🔗 国土交通省 屋上緑化・壁面緑化推進の取組: https://www.mlit.go.jp/toshi/park/toshi_parkgreen_tk_000065.html