気候目標の読み方×調達/環境情報化

2026-10-20

気候目標の読み方×調達/環境情報化 図版1

フランスの食品大手ダノンが、酪農のメタンを減らす計画の、今年の進捗を開示しています(2026年7月)。目標は、調達する生乳のサプライチェーンから出るメタンを、2030年までに2020年比で30%減らすこと。2025年末で29.8%減と、ほぼ届いた形です。

この開示は、29.8%がどこから来たかの内訳も書いています。

・調達の判断(主に調達量):17.6ポイント
・農場での対策:11.2ポイント(牛群の管理5.9、ふん尿の管理3.6、農場の構成1.2、飼料添加物0.5)
・算定範囲や手法の変更など:1.0ポイント

17.6ポイントは、主に調達量と製品構成の変化によるものだと説明されています。つまり削減幅の約6割は、同社の分類では「調達の判断」に入る分です。目標が絶対量で置かれている以上、買う量が減れば排出も減るので、計算としては自然なことです。

私が大事だと思うのは、ダノン自身がこの分け方で開示している点です。「目標に届いた」という1つの数字だけでは、現場の対策が進んだのか、事業の規模や構成が変わったのかを区別できません。内訳があって初めて、取引先や投資家は「農場で何が変わったのか」を問えるようになります。

農場での対策を広げる取り組みも、同じ開示に並んでいます。ブラジルでは乳を納める約230軒のうち151軒を支援するプログラムが続き、モロッコとインドでは1,000軒を超える農家にバイオガスの設備が入ったそうです。

この分け方があると、取引先や投資家は、何が進み、何をさらに確かめたいかを判断できます。企業の排出目標の進み具合を読むときも、説明するときも、「事業の変化」と「現場の対策」に分けておく。数字を判断に使える情報に変えるという意味で、環境情報化の具体的な形だと思います。

🔗 ダノンの進捗開示(2026年7月・PDF): https://www.danone.com/content/dam/corp/global/danonecom/about-us-impact/policies-and-commitments/en/2026/dairy-action-methane-plan-progress-disclosure-2026.pdf
🔗 目標を掲げた2023年の文書(PDF): https://www.danone.com/content/dam/corp/global/danonecom/about-us-impact/policies-and-commitments/en/2023/methane-matters.pdf