気候適応×米づくり

農研機構などが10月7日、「再生二期作」の試験と現地実証の結果を発表しました。
ふつうの稲作は、春に苗を育てて田植えをし、秋に1回だけ刈り取ります(一期作)。高知県や沖縄県などでは、刈ったあとにもう一度田植えをして2回収穫する二期作が行われることもあります。再生二期作は、そのどちらとも違い、1回目の稲を刈ったあと、切り株から伸びてくる芽(ひこばえ)を育てて、同じ年にもう一度収穫します。2回目は苗づくりも代かきも田植えもいらないので、重さあたりの生産コストを下げられると期待されています。
背景にあるのは温暖化です。発表によると、温暖化で稲の生育期間が長くなり、関東地方以西の暖地や温暖地では、ふつうの二期作まではできなくても、再生二期作ならできる地域が多くなり、普及が広がっているそうです。
結果は次のとおりです。
・福岡県筑後市の試験(2022〜23年の平均)では、4月に田植えをすると、8品種すべてで2回の合計が10a(1,000平方メートル)あたり850kgを超えた
・5月の田植えでは、早生〜中生の品種は2回目が150kgを下回り、合計も800kgに届かなかった
・福岡県豊前市の生産者の田んぼでの実証(2025年・品種「つきあかり」・4月植え)では、1回目約700kg、2回目約300kgで、合計約1トン
・食べ比べ(22人と19人)では、通常のコシヒカリと総合評価で明確な差はなかった
比べる目安として、ふつうの一期作の全国の平年の収量は、10aあたり539kgです(農林水産省、令和7年産)。これは平年並みの天候を想定した全国の基準値で、今回の実証とは地域や栽培の条件が違い、測り方が同じかも確かめられないので、そのまま並べて比べることはできません。
ただ、条件にはかなり左右されます。北部九州では、8月20日頃までに1回目を刈り取れる品種と田植えの時期を選ぶことが、2回目の収量を安定させる条件だとしています。5月植えでは、2回目の生育に必要な気温を確保できる期間が短く、早生〜中生の品種の収量が低くなりました。早く植えられるかどうかも、地域の気温と、用水を確保できる時期に左右されます。実証は1年分の結果で、関東北部での適用はこれから検討するそうです。
気候の変化はリスクとして語られることが多いですが、ここでは作り方そのものを組み替える変数として使われています。延びた生育期間を「もう1回の収穫」に充てるには、品種や田植えの時期を、地域の気温と用水の条件に合わせて選び直す必要がある。適応というのは、元に戻すことではなく、変わった条件に合わせて設計し直すことでもあるのだと思います。
🔗 農研機構の発表(2026年10月7日): https://www.naro.go.jp/publicity_report/press/laboratory/carc/177907.html
🔗 論文(Crop and Environment): https://doi.org/10.1016/j.crope.2026.100122