子どもの自然体験×自然再生への賛否


自然を元に戻す計画に、住民が賛成するかどうか。その賛否は、何で決まるのか。
デンマークのコペンハーゲン都市圏で、3,493人に尋ねた研究が8月19日に People and Nature に出ました。地図の上で自分がよく知っている自然の場所を指してもらい、そこで湿地や森を復元する措置に賛成するかを聞いています。あわせて、6歳から12歳の頃に自然の中でどれくらい遊んだか、22種類の体験のうちいくつを経験したかも尋ねました。
結果は、仮説どおりでした。子どもの頃の体験が多く、多様だった人ほど、自然を大事に思う気持ちが強く、復元にも賛成しやすい。
ただ、支持されたのはその向きだけで、強さのほうは別の話でした。
・態度の差は、5点尺度で最大0.2点ほど
・賛否のばらつきのうち、自然を大事に思う気持ちで説明できたのは4.7〜8.8%
残りは、この研究が測った価値観では説明できていません。著者らは、身近な場所を指して尋ねたことで、その場所への愛着や自分の経験が、抽象的な価値観より前に出たのではないか、と推測しています。
環境教育を充実させれば、いずれ理解が進む。そう考えたくなるのですが、この数字を見ると、それだけでは足りないのかもしれません。自然は場所に紐づくものなので、合意形成も、その場所ごとの関係者同士での対話が重要だろう、ということを改めて感じました。
なお、これは横断調査で、子どもの頃のことは大人になってからの記憶に頼っています。著者ら自身が「単純な因果の主張は慎重に扱うべきだ」と書いていました。
🔗 論文(オープンアクセス): https://doi.org/10.1002/pan3.70413