主観的WBの測定×自然/環境情報化

2026-09-09

主観的WBの測定×自然/環境情報化 図版1
主観的WBの測定×自然/環境情報化 図版2

国が毎年1万人に聞いている調査で、「自然環境」への満足度は上がり続けています。それなのに、生活全体の満足度を13の分野で説明する分析では、自然環境の係数は小さな負の値で、統計的に有意になりませんでした。13分野のうち有意にならなかったのは、自然環境と身の回りの安全の2つです。

内閣府「満足度・生活の質に関する調査報告書2026」(7月31日公表)にあります。15歳から89歳のインターネットパネルへのWEB調査で、今年は2月27日から3月14日に実施。10,632人の回答をもとに、13分野の満足度で総合的な生活満足度を説明する重回帰分析をしています。

係数の大きい順に並べると、

・生活の楽しさ・面白さ 0.390
・家計と資産 0.251
・健康状態 0.110
・住宅 0.107

と続きます。「生活を取り巻く空気や水などの自然環境」は −0.012。男性だけ、女性だけ、性別と年齢をそろえたモデル、どれで計算しても −0.012 から −0.013 のあたりで、有意になりませんでした。

そして同じ報告書の数ページ前には「『住宅』『仕事と生活(WLB)』『自然環境』については、上昇が続いている」と書いてあります。満足度そのものは上がっているのに、生活満足度を説明する側に回ると出てこない。この2つが同じ文書に並んでいるのを、どう読むかだと思っています。

はっきりさせておきたいのは、これは「自然は幸福に関係ない」ではない、ということです。有意でないことは、関係がないことの証明にはなりません。そして報告書自身が脚注で、13分野の満足度はお互いによく似た動きをする、と書いています。相関はほとんどの組み合わせで0.5以上、家計と雇用のように0.7を超えるところもある。似た動きをする指標を13個まとめて入れて出した係数からは、関係の形も、どこを通っているのかも、この表だけでは分かりません。

分からない、で止まるのが正確だと思います。そのうえで実務の話をすると、緑やグリーンインフラの価値を主観的な満足度で語りたいとき、この表に答えを探しにいっても出てこない、ということになります。関係の形を知りたいなら、どこを通って効いているのかを切り分けられる設計で測るしかない。主観の指標だけでは足りなくて、医療や保険のデータ、自然そのもののデータと突き合わせる必要があるんだと思います。

ちなみにこの調査、個票データは匿名化のうえ申請すれば提供されます。今回の第8回調査ぶんも、約1万サンプルの申請フォームが公式サイトに出ています。表を眺めて「分からない」で止めるか、自分で確かめにいくかは、こちら側の問題でもありました。

見えにくい価値を測って意思決定に接続する、という話をずっとしてきましたが、その物差しの側に自然がどう入っているかを、一次資料まで戻って確かめたのは今回が初めてでした。入ってはいる。けれど、いまの置き方では、関係の形や経路までは言えない。ここが出発点なんだろうと思っています。

🔗 内閣府「満足度・生活の質に関する調査」: https://lnkd.in/gVtdkMdp
🔗 報告書2026 本体(PDF): https://lnkd.in/ghKwCp24