不動産のインパクト評価/価値の翻訳

築古のビルを改修して、価値を上げる。そのときの「社会的・環境的なインパクト」をどう測り、どう伝えるか。国土交通省が公募していたスキームの採択結果が、9月8日に出ました。応募10件、採択5件です。
私が読んで意外だったのは、採択された中身より、募集要領に書かれていた評価の視点のほうでした。4つあります。
・提案スキームが、インパクトによる価値創造を測るものになっているか
・ネガティブ・インパクトを特定できるものであるか
・KPIの設定にあたって、インパクトと経済性との接続の説明を試みているか
・KPI測定方法及びモニタリング方法等が、継続性、客観性を有するものであるか
2つ目です。良くなった分を数えるだけの評価にはしない、という線が、募集の段階から引かれている。改修の話でこれが視点に入っているのは、けっこう強い設計だと思いました。
採択された5件は、こんな内容でした。
・建築物の効果を総合的に定量評価する独自指標を、地域社会への効果を含めて高度化する(NTTファシリティーズ)
・地域・利用者・建物の3系統のデータと改修施策データを、同一基盤上で統合解析する(GOYOH)
・地域課題を起点にロジックモデルとKPIを整理し、地域経済波及効果まで測る(See Visions・価値総合研究所)
・CASBEE-ウェルネス不動産をベースに、改修前後の差分を測るチェックリストを作る(千葉大学・ザイマックス総研)
・ESGポジショニングと地域課題とテナントの声を統合し、創出すべき価値を特定する(みずほ不動産投資顧問)
募集要領がインパクトの例として挙げているのは、well-being と GHG 排出量削減と地域活性化等。自然の状態は、おそらくこの「目指すインパクト」のなかに置かれるのだと思います。こういう取り組みから、自然の状態と目指すインパクトがどういう関係にあるのかの知見が増えていくことに期待しています。
🔗 採択結果(国土交通省):https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo05_hh_000001_00274.html
🔗 事業概要・募集要領:https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/esg_valueup.html