社会関係資本×地域/市民参加型NbS


「どこにどんな生きものがいるかは、長くいれば体でなんとなく分かっていても、記録に残していなければ人には伝えられません」
佐賀県唐津市の里山で生物多様性のモニタリングを始めたNPOの、副理事の言葉です。8月30日に出たリリースに載っていました。
場所は相知町横枕。2023年度後期に、佐賀県で初めて環境省の自然共生サイトに認定された36.67ヘクタールの里山です。8月7日に1回目の生物調査を実施し、佐賀大学農学部の研究室と一緒に、タモ網と捕虫網で水辺から林の縁まで記録し、林の中には赤外線センサーカメラを設置しました。1回目で確認できたのは、小魚をくわえたカワセミ、ネキトンボの未熟個体、カワニナの仲間、タゴガエルなど。これまでに確認された生きものは約140種(暫定値・精査中)で、絶滅危惧II類のカスミサンショウウオもいるそうです。
リリースが書いている出発点は、こうです。認定は取れた。けれど「これまでのモニタリングは地域住民の経験に依存した断片的なもので、科学的根拠にもとづく評価・管理の手法は確立できていませんでした」。
大事だと思ったのは、目標の置き方でした。「目指しているのは、データを集めることそのものではありません」と書いてある。里山の価値を科学的に示すこと。そして、住民・高校生・大学生が自分たちで調査を続けられる手順と体制をつくり、事業が終わったあとも地域主体で記録を続けられるようにすること。この2つが並べて置かれています。
自然の情報を意思決定に使える形にする、という話をするとき、私はつい測る精度のほうを考えます。でもこの事業が要件にしているのは、精度だけではなく、終わったあとも続けられるかどうか、のほうも、なんだと思いました。
自然はその場所に紐づいているので、どこをどうしていくかは、そこに住んでいる人たちとの対話でしか決まらないと思っています。そのときに、体で分かっている人の知識が記録になっていないと、話し合いの場に持ち込めない。自然の働きが全部数値になるわけではないけれど、数値にできる部分だけでも比べられる形にしておくことが、合意形成を下支えするんじゃないか。副理事の言葉を読んで、そう思いました。
事業の期間は令和9年2月末までです。生物調査は年3回で、2回目は秋、3回目は晩秋の予定だそうです。まだ1回目なので、生きものが増えたのか減ったのかは、これからの話になります。
🔗 プレスリリース: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000171.000142434.html
🔗 唐津Farm&Foodの30by30の取り組み: https://karatsu-f-f.com/30by30.html