働く人の孤独感×緑の関わり方

2026-09-12

働く人の孤独感×緑の関わり方 図版1

都市で働く人の孤独感と、緑との関わり方の関係を、東京23区のオフィス勤務者700人で調べた研究が、日本緑化工学会誌に8月31日付で公開されました。千葉大学と鹿島建設技術研究所の研究者によるものです。

対象は、週3回以上オフィスで働く20〜50代の正社員、男女350人ずつ。2024年9月のオンライン調査で、緑との関わり18項目の頻度と、日本語版UCLA孤独感尺度(20項目)に答えてもらっています。

まず、孤独感の平均は48.6点でした。同じ尺度で測った日本の65歳以上の地域在住高齢者の平均42.2点(別の研究)より高い。孤独対策は高齢者を主な対象に語られてきたが、働く世代への対応の重要性が改めて示された、と著者は書いています。

緑との関わりは、因子分析で5つに分かれました。

・市民農園やペットの散歩など、条件が要る活動

・公園や自然で身体を動かす、飲食する、散策する

・アロマやハーブなど、植物由来のものを生活に取り入れる

・通勤中や職場の窓から緑を眺める

・自宅での園芸

孤独感と統計的に有意な負の相関があったのは、2つ目の「自然や公園・緑地の利用」だけでした。つまり、公園や自然の中で身体を動かしたり食事をしたりする頻度が高い人ほど、孤独感の点数は低い、という関係です。眺める、育てる、香りを使う、では有意になっていません(利用が他の関わり方より強く関係する、と比べた検定ではありません)。ただし相関係数は−0.10と小さく、著者自身が「緑との関わりの頻度・種類だけでは孤独感の個人差を十分に説明することは困難」と書いています。横断調査なので、因果の向きも分かりません。

この研究で分かるのは、利用の因子だけに小さな負の相関があった、というところまでです。関わり方どうしの比較も、因果も、まだ検証されていません。それでも、緑視率のように「目に入る緑の量」で評価しがちな都市の緑を、「そこで何をするか」でも測ってみる材料にはなると思いました。

🔗 論文(J-STAGE):https://doi.org/10.7211/jjsrt.52.103