雨庭×住民の認知/グリーンインフラの合意形成

京都市は2017年度から、幹線道路沿いに「雨庭」を作ってきました。雨水を集めて、貯めて、地面にゆっくり浸透させる緑地です。2026年時点で市内に16か所あります。
その雨庭を、周辺の住民はどう見ているのか。京都市役所と京都府立大学の研究者による調査結果が、ランドスケープ技術報告集に9月11日付で公開されました。
調査は2022年10月。交差点に面した3か所の雨庭を中心に半径500m内の住戸から無作為に1,000戸ずつ、計3,000戸にポスティングで配布し、郵送で回収して、600通の有効回答(20.0%)を得ています。
結果で私が気になったのは3点です。
・「京都市内に雨庭の機能は必要」は、どちらかといえばを含めて3地区とも90%以上
・ただし、浸水した道路を歩いた経験の有無と、雨庭を必要と思うかどうかには、関連が見られなかった(χ²検定)
・西大路四条の雨庭では、「庭があるのは知っていたが、雨庭だとは知らなかった」が71.1%
必要とされる理由の上位は、水害の防止、ヒートアイランドの緩和、雨天時の水はけ。生物の生息空間や水質浄化は少数でした。
著者は、調査票の冒頭で雨庭のメリットだけを説明し、費用や維持管理の問題に触れなかったので、肯定的に偏った可能性があると自分で書いています。この正直さがあるので、数字を読む位置が決めやすい。
必要性と水害経験の2項目はクロス集計とχ²検定で見られていますが、雨庭の認知を含む3項目をまとめて結びつけた分析はありません。並べて見えるのは、支持は高く、水害経験とは統計的に関連せず、雨庭だと知らない人が多い地区がある、という3つの事実です。四条堀川の雨庭は、周辺住民が維持管理に貢献することを前提にした「住民公募型」で進められた、と報告にあります。その前提になる認知について、著者は看板の有無と面積が影響した可能性を挙げています。
ここから先は私の仮説ですが、グリーンインフラの合意形成には、貯水量のような機能の説明と、それが何なのかを知ってもらう広報の両方が要るのかもしれません。著者も、貯水能力や雨天時の実例を示して聞けば結果が変わりうる、と書いています。
🔗 報告(J-STAGE):https://doi.org/10.60235/jilatech.5.0_29