公園再編×人流データ/自然データと人データの結合

2026-09-16

公園再編×人流データ/自然データと人データの結合 図版1

公園を増やさずに、どの公園を何に使う場所にするか。目黒区がその判断材料に、人流ビッグデータとGISのアクセス分析を使いました。都市計画報告集 No.25(2026年8月)に、計画策定を支援した事業者からの事例報告が出ています(査読のない報告集です)。

対象は「目黒区いきものみどりみらい計画」(2026〜2035年度)。緑の基本計画と生物多様性地域戦略を統合した計画です。やったことは3つ。

・公園を「多目的」「球技」「幼児・児童の遊び場」「健康増進」「休息」の5機能に分け、機能ごとに最寄りの公園までの距離と、その圏内の人口を出す

・スマートフォンの位置情報(全国約350万人分、2023年9月から2024年8月の平日と休日)から、公園ごとの訪問回数、滞在時間、居住地・勤務地・性別・年代を推定する

・アクセス圏人口の順位と、現地調査で数えた利用者数の順位を突き合わせ、2,500㎡以上の26公園の中で、ずれの大きい公園を探す

3つ目で出てきた差が具体的です。すずめのお宿緑地公園は、アクセス圏人口では区内3位(22,816人)なのに、現地調査で数えた利用者数の順位では38位。利用者は成人と高齢者が大半で、平日の幼児・小学生が少ない。周辺に子どもが使える公園がないので、子育て世帯向けの機能を足す余地がある、と報告は推察しています。逆に、衾町(ふすまちょう)公園はアクセス圏人口23位で利用者数3位でした。

一方で報告は、分析成果の大部分は計画書には載っていない、とも書いています。載ったのは公園再編方針と、年代・性別の割合の一部。残りは、個別の公園を整備するときのバックデータとして蓄えられた。

私が面白いと思ったのは、緑の側のデータ(公園の配置と機能から出したアクセス圏人口)と、人の側のデータ(現地調査で数えた利用者数)を順位で比べ、人流データで見た属性や滞在の分析を合わせて、ずれの理由を考える型です。個別の公園整備で人流分析を入れるのは予算的に難しい場合が多い、と報告は書いています。だから上位計画の改定のときにまとめて測り、バックデータとして残す。供給と利用のずれを表にして持っておくことが、次の10年の個別の整備判断の土台になるのだと思います。

🔗 事例報告(都市計画報告集 No.25・J-STAGE):https://doi.org/10.11361/reportscpij.25.2_349