子ども・若者×自然との関わりの障壁/届いていない側の測定

2026-09-19

子ども・若者×自然との関わりの障壁/届いていない側の測定 図版1

8〜15歳の93%が「自然にいるととても幸せ」と答える国で、それでも自然に行けない、行かない理由は何か。英国の Natural England が2026年9月16日に公開した証拠ブリーフィング(既存研究を整理した資料)「Included outside」が、0〜25歳を対象に証拠文献87本(補助・文脈の資料が別に48本)を統合し、障壁を4つに分けています。4つ目は、子ども本人の手が届かないところで決まっているものでした。

4つはこうです。

・構造の障壁。手入れの行き届いた質の高い緑地が近くにない。カフェやトイレがない。小さい子は移動を大人に頼るので、交通の手段と費用がそのまま壁になる

・体験の障壁。小さい子の体験は、親が「安全か、適切か、費用はどうか」をどう判断するかに大きく左右される。10代が独りで行くと、人けのない場所で警戒を強める。天気の悪さは全年齢で出てくる

・文化の障壁。10代になると、自然は「小さい子の遊び場」であり「自分たちの場所ではない」と感じるようになる。泥や汗、服装や髪型と相いれないと言う若者もいる

・計画と管理の障壁。子どもは住む場所も学校も選べず、身近な環境の優先順位に口を出す機会がほとんどない。遊び場は自然の要素が少なく、学校の敷地に自然を入れる予算はわずか。自然の場所の管理は大人が握り、若者のニーズから切り離されている、とブリーフィングは書きます

4分類は質的な整理で、分類ごとの件数はありません。代わりに、付属の証拠一覧(87本)を数えると、どんな研究が土台かは分かります。査読論文65本と機関の報告22本。方法は質的研究38・量的研究10・混合23・文献レビュー16。子どもや若者に直接の発言の場を与えた研究は39本で、若者自身が著者の研究は2本でした。障壁を語る側にも、本人の声はまだ少ない。

この「口を出す機会がない」というところで、雨庭の推進に取り組む先生に話を聞いたときのことを思い出しました。ある地域では、雨庭を作ることを通して地域の水害被害の緩和に自分たちが貢献できると分かった学生たちが、目を輝かせたそうです。公共のインフラづくりに学生でも関われる側面は、実はある。そういう機会を学生の頃から持てる地域づくり、未来の世代が地域の意思決定に関わる社会的な仕組みが、これからますます重要になるのだろうと気づかされました。

英国にはこの層を測る仕組みもあります。Children's People and Nature Survey は2021年から毎年2回、8〜15歳に聞き、累計2万人を超え、データは公開されています。2023年からは若者の助言グループが自分たちで設問を作り、「自然に行きたくなる7つのこと」の順位を聞いています。届いていない側を、届いていない本人の言葉で測り、決める側に本人を入れる。緑地の供給量やアクセス距離とは別に、この2つが要ると私は思っています。

🔗 証拠ブリーフィング(Natural England TIN240・2026年9月16日):https://publications.naturalengland.org.uk/publication/6640803479552000
🔗 Children's People and Nature Survey(公開データ):https://www.gov.uk/government/collections/the-people-and-nature-surveys-for-england