若者の農村居住条件×自然/同じ土俵の順位

若者が農村に住むための条件を、大人ではなく若者自身が19個に絞り、その重要度を福島大学の学生が5年間にわたり5段階で答えた結果が、復興農学会誌の2026年9月号に載りました。「自然環境が豊かである」は19条件中11位。上位はインターネット、安心して暮らせる、子育てしやすい、都市部へのアクセス、でした。
先に言っておくと、19条件はどれも5点満点で平均3.5以上、つまり全部「重要」の側です。自然が軽いのではなく、順位の問題です。
順位表(食農学類1年生・5年間平均)は、上からこうなります。
1位 インターネットが整備されている 4.73
2位 安心して暮らせる 4.73
3位 子育てしやすい 4.58
4位 都市部へのアクセスが良い 4.48
5位 徒歩圏内に商店がある 4.31
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11位 自然環境が豊かである 4.05
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16位 環境負荷を減らす意識が高い 3.75
18位 趣味としての農業ができる 3.57
19位 農業の仕事に就きやすい 3.51
回答は福島大学の学生504人(福島県出身が4割)、令和3〜7年度の5年間。表の順位は、農業への関心が高いと考えられる食農学類(農と食を学ぶ学類)1年生の集団のものです。コロナ禍の前後でスコアに大きな変化はなく、「安心して暮らせる」が2位なのは震災の影響が大きいと著者は考えています。他地域の学生で確認が必要、とも書いています。
この表を見て思い出したのは、2026年8月に移住の意識調査について書いたときに残した宿題です。憧れを尋ねると自然が1位に来て、条件を尋ねると費用と利便性で埋まる。自然を、費用や安心と同じ一覧の中で比べられる言葉にどう置き直すか、が宿題でした。この調査は、若者が自分で作った条件の一覧に自然を載せた結果として、11位という位置を示しています。
私には「自然は決め手ではなく、前提の側にある」と読めました。豊かな自然があることは織り込み済みで、その上で通信、安心、子育て、仕事が問われる、という読みです。順位だけからは別の読みもあり得るので、ここは私の解釈です。地域の訴求を自然の豊かさに置くより、その自然で何ができるか、の側に置くほうが、この順位表とは整合すると思っています。19条件の中でいえば「地域活性化と自分がつながりやすい」(15位)や「地域の特色を活かした教育」(14位)が、その置き場所にあたります。
🔗 論文(復興農学会誌 6(1)・J-STAGE・2026年9月16日公開):https://doi.org/10.57341/jras.6.1_15
🔗 2026年8月の投稿(移住の意識調査と自然):https://makidana.shinojackie.com/posts/wb-20260823-1